日野自動車は、このほどサウジアラビアを舞台として開催される「ダカールラリー2026」に「日野チームスガワラ」として参戦を表明した。日野自動車は1991年の初参戦以来、ダカールラリー・トラック部門への挑戦を続けており次大会で連続35回目の挑戦を迎える。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/日野自動車・フルロード編集部・ASO
ダカールラリー2026に向け信頼性と戦闘力を上げた車両を開発
前回大会への挑戦は、終盤に発生したトランスファーの絶望的なトラブルをチームの総合力で乗り切って、トラック部門総合13位で終えた日野チームスガワラ。
順位こそ振るわなかったが、完走率が50%を切ることも珍しくない「世界一過酷なラリー」で知られるダカールラリーにおいて、日野自動車としての連続完走記録を前人未到の34回に伸ばすことに成功した。
いっぽう2026年大会では、2025年大会の参戦車(HINO600シリーズ)をベースに、悪路走破性を向上させる改良を予定し、レース中の平均車速を上げ上位入賞することを目指すとしている。
具体的には、リーフスプリング+(ショックアブソーバー付き)コイルスプリング2本を一組とするサスペンションのバネレートを下げることで、悪路走破性や乗り心地の向上を図る。
また、2025年大会で得た解析データと乗員からのフィードバックをもとに、頻発したトランスファーのトラブル対策も講じる。
まずトランスファーに内蔵するセンターデフのデフロックが効かなくなるトラブルおいては、デフのドッグクラッチの噛み合いが悪かった可能性を推測。ドッグクラッチを動かすエアの配管等を見直すことで保持圧をしっかり担保できるような対策を行なう。
さらに、外部からの入力でフロントのトルクロッドが外れ、衝撃で押されたプロペラシャフトがトランスファーを叩き割ってしまったトラブルの対策については、プロペラシャフトの伸縮幅の拡大とトルクロッドの留め具を抜けにくい構造のものに変更するなどの信頼性を高める車両開発が行なわれる。
販売会社メカニックのメンバーが決定
いっぽう、現場の人材育成やモチベーション向上を図るため1995年から日野が継続してきた、販売会社メカニックの採用結果もこのほど発表。
2026年大会には、メカニック選考会で選ばれた西東北日野自動車の田澤正和氏、南関東日野自動車の今川博貴氏、広島日野自動車の菊池拓実氏の3名がチームに加入することが決まった。
以下、チーム代表と販売会社メカニックのコメント。
■チーム代表/ドライバー 菅原照仁
25年大会では上位勢と互角に争える感触を得られた一方で、リタイヤに直結する深刻なトラブルにも見舞われました。そのピンチをチーム一丸となって乗り越えたことで、チーム力はより一層高まっています。26年大会に向けてはトラブルに対する改良に留まらず、攻めのマシン作りで更なる高みを目指します。日野自動車として35回目のダカールラリーに是非ご期待下さい。
■メカニック 西東北日野自動車 田澤正和
西東北日野自動車の代表として参戦できることに感謝しています。社員全員の想いと、選考会で共に切磋琢磨した仲間の想いも背負って全力でサポートして参ります。今回大会で35回連続完走し、前回参戦した販売会社メカニックから引き継いだバトンを必ず次に渡します。
■メカニック 南関東日野自動車 今川博貴
夢であった日野チームスガワラのメカニックとしてラリーに参戦できることをとても嬉しく思います。「世界一過酷」と呼ばれているレースですが、今まで学んだことを生かしたうえで新しいことを学び、どんな困難もチーム全員で乗り越え上位入賞できるように全力を尽くします。
■メカニック 広島日野自動車 菊池拓実
以前より目標にしていたダカールラリーの舞台にメカニックとして挑める事を誇りに思います。仲間に信頼されるよう、謙虚な気持ちで戦って参ります。過酷な環境ではありますが、どんなトラブルが起きても的確な判断と正確な整備でチームを全力で支えます。
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