南本牧ターミナルでスゴい「荷役機器」を体験してきました! その2

南本牧ターミナルでスゴい「荷役機器」を体験してきました! その2
コンテナを上から持ち上げるフォークリフト「トップリフター」のスゴ技!
コンテナヤードで活躍する荷役機器としては、俗に「トンボ」と呼ばれる「トップリフター」があります。南本牧ターミナルので行なわれた「荷役機器体験会」では、このトップリフターの運転操作も同乗体験できました。
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これがトップリフターです。乗用車と比べてその大きさが分かると思いますが、これは空バン専用なので、まだ小さい方なんでしょうね。フォークリフトメーカーが造っており、これはトヨタL&F製でした
トップリフターというのは、大型フォークリフトの一種と考えてもらえばいいのですが、フォークリフトの爪の代わりにスプレッダーという装置が取り付けられています。通常のフォークリフトは、フォークを荷物の下に差し込んで持ち上げて運ぶわけですが、スプレッダーは、コンテナ上部の四隅についている穴にツイストロックを嵌合させて、上から持ち上げて運ぶのが特徴です。
ちなみに今回体験したのは、空バン専用のトップリフターのため、四隅ではなく、前側の左右のツイストロックのみで持ち上げていました。ちなみにドライの空バンの自重は、20フィートで約2.3トン、40フィートで約3.8トンあります。実入りコンテナの場合は、総重量が30トン以上になるので、ホイールべースが長く、リヤにカウンターウエイトをたくさん積んだ重量級のトップリフターの出番となります。
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実入りコンテナも運べる四ツ爪のスプレッダーを装備した重量級のトップリフター。最大荷重は24トン。こちらは三菱重工製です
今回のトップリフターは、5段積みのコンテナに対応しており、2本のマストがスルスルと伸びて、目指すコンテナの上部に到達。すると今度は左右のアームが、20フィートコンテナなら20フィート(6.096メートル)、40フィートコンテナなら40フィート(12.192メートル)伸びて、コンテナをキャッチ。スプレッダーというのはよく出来ていますが、それを自在に使いこなすオペレーターさんのスゴ技も、魅せてくれます。
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スプレッダーのマストがスルスルと伸び、5段積みの一番上のコンテナを掴んで下ろす一連の動き。とてもスムーズで、職人技を感じさせます

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空バン専用なので、スプレッダーは片受けですが、ツイストロックでしっかり嵌合しています
また、トップリフターの面白いところは、運転席がかなりかさ上げされているところで、キャビンには階段を上って搭乗します。キャビンは四方がガラス張りで、ルーフも前側はガラス張りです。
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運転席はこんなふうにかさ上げされ、通常のフォークリフトよりキャビン一つ分ほど高くなっています。ちなみに白いヘルメットの人は、同乗体験している参加者です

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運転席は意外とシンプルです。オペレーターの横のモニターは、センターからの指示を表示するMESHの端末です
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ルーフもガラス張りです

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運転席から見た作業の一連の流れ。コンテナが目前に迫っているので、実は視界は結構遮られているんですね
といっても、スプレッダーで前にコンテナを抱えると、視界は途端に悪くなります。しかもコンテナヤードでは、前進・後進・旋回を頻繁に繰り返すのがトップリフターの宿命ですから、前ばかりに気を取られていると、後ろへの注意が疎かになってしまいます。そのためトップリフターのオペレーターさんは、何度も何度もせわしないほど後ろを振り返って確認を怠りません。通常のフォークリフトは小回りが効きますが、特に40フィートコンテナなどを抱えたトップリフターの有効回転半径は、極端に大きくなるので、海コンドライバーさんもこのことを充分考慮したうえで待機して欲しいものです。
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長さ12メートル超の40フィートコンテナを抱えると、前方視界は極端に悪くなり、小回りも効かなくなります
体験会に参加したドライバーからは、「トップリフターの運転が想像以上に大変なことが分かった。ヤードの作業範囲は思いのほか狭いから、うちらもトップリフターが作業しやすいよう海コンシャーシを停める位置を考えなくちゃいけにいね」」といった声が聞かれました。
今回の南本牧ターミナルの「荷役機器体験会」は、テナーやトップリフターのオペレーターの立場で荷役作業を体験してみるというユニークな発想が光る、海コンドライバーにはとても有意義な催しだったと思います。この体験会を企画した南本牧ターミナル安全衛生委員会事務局では、次回の開催も検討しており、「今度は日曜日ではなく、もっとドライバーさんが来やすい土曜日の午後に開きたい」と言っています。こうした催しは、南本牧ターミナルのみならず、全国のコンテナターミナルで開かれてもいいですね。それによって、少しでも荷役作業中の事故が減り、作業がスムーズになることを願ってやみません。キャップ的にも、とても貴重な体験で、大満足の一日でした。
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