EV発進もできる進化した新世代ハイブリッドシステム
HVの動作ですが、まず始動、これは従来より非常に好評ですので、現行通りハイブリッドのモーターでエンジンを始動するということにしています。また発進時EVとありますが、これはバッテリーの容量によります。バッテリーの容量が多ければ、そのお駄賃としてバッテリーからクラッチを引いてモーター発進ができます。いまお駄賃と言いましたが、これが燃費に寄与しているわけではありません。これが主の燃費ではないんですけど、お客さまの商品性向上ということもありまして、バッテリー、つまりモーターで走るということも考慮している。通常であれば、アクセルペダルを踏むと従来通りパラレル方式ということでモーターとエンジンの合算トルクです。また定常走行域は、従来も一緒ですけど燃料投入量、絶対投入量が少ない領域ですから、エンジンだけで走った方が効率がいい、無駄な電気は使いたくないということで、エンジンだけで走るようにしています。
で、ここが目玉になりますけど、このクラッチを設けた理由というのが回生量を最大限確保しようということで、大体2割から3割回生量が増えています。また申し遅れましたが、例えばモーターで発進している時、あるいは必ず回生している時は、通常のアイドル回転ではもったいないので、アイドル回転数も下げています。何でエンジン回ってるのと言いますと、補機類を駆動するためですから、補機類に必要な最低限のパワーのアイドル回転にしているというのも特徴の一つです。
実際の結果ですが、日野の羽村工場の近くで、5名のドライバーで5日間、曜日も時間帯も変えてプロではなく素人も入っていただいて、実測した結果がディーゼル車対比で大体1.4倍くらいの実路燃費が出ています。また、他社さんのハイブリッド車と比較していますが、当社の都市内Aパターン(平均車速15km)でA社より39%、B社より36%燃費がいいという結果も出ています。
それ以外で特に力を入れたのが、アイドルストップです。アイドルストップは今までマニュアルでやってました。しかし、クラッチ、ギアを抜いてニュートラルにしないとアイドルストップしなかったということもあって、なかなか実施率、使用していただく機会が少ないということがありました。今回はメカオートに採用したのに併せて、Dレンジのままアイドルストップしようということで、Dレンジのままブレーキを踏んで車速がゼロになると勝手にエンジンが止まるという方式を採用しています。またレスポンスも考慮してブレーキを離すと即座にエンジンがかかるというものを採用しています。
また新たにモードスイッチを設けました。ノーマル、エコ、パワーの3つのモードがあります。先ほどの燃費はエコモードで計っていますので、エコモードを推奨するということですが、パワーは登坂等でどうしても力が欲しい時はかなり違います。ただパワーだけで使ってもらうとちっとも燃費が良くならないものですから、キースイッチをオフにすると必ずノーマルに戻るようになっています。
もうひとつはHV専用メーターを採用しています。一般ディーゼル車に対して、基調を白にして若干高級感を出しているというのが特徴のです。また、以前から好評だったんですが、エコランプですね、これを長く点灯させると、非常に燃費が良くなるというランプですけど、今まで小さかったんですが、これを今回、ランプがつくと白基調のパネルも一緒に緑になる…、ちゃんと正面を向いて安全運転していても、この辺で緑が点いたのが分かるというものを採用しています。
さらにHVのインジケーター、これも前からありました。前はLED5個でHV動作を表現していましたが、今回は少しグラフィックにということで、一目でバッテリーの容量が分かるように5段階で表示しました。さらに充電とアシスト、ここは非常にシンプルに表現し、走行中はタイヤがくるくる回っていて、始動から停止まで車両の一連の動作にうまくマッチして点灯するようにしています。
以上でございます。ありがとうございました。 (了) 【お話 日野自動車製品開発部ハイブリッド担当 山口公一チーフエンジニア】