インターナショナルが電動の大型トラックを発表!! 米国の大手トラックメーカーも大半がBEVトラクタをラインナップ

　米国のトラックメーカーでトレイトングループ（VWの商用車部門）に属するインターナショナルが、バッテリーEV大型トラクタ「eRH」を発表した。2026年上半期に量産を開始する予定。

　米国の大手トラックメーカー7社も、これで大半がトラクタ系までBEVを設定することになった。トランプ政権で環境政策は後退したが、商用車の電動化は前進しているようだ。

文／トラックマガジン「フルロード」編集部
写真／International Motors, llc.

インターナショナルが電気駆動の大型トラックを発表

　フォルクスワーゲンの商用車部門、トレイトングループに所属し、先日「ナビスター」から社名を変更したインターナショナル・モーターズLLCは2025年4月23日、バッテリーEV（BEV）のラインナップに新たな車両が加わると発表した。

　新型BEVはクラス8（米国のトラック区分で最も重いクラス）の地場輸送用トラクタとなる「eRH」シリーズだ。

　地場輸送やドレージ輸送など走行距離の短い大型車の需要を満たすため、eRHのアクスル構成は4×2及び6×4を用意する（米国の長距離輸送はほぼ6×4トラクタが担う）。航続可能距離はアクスル構成、バッテリー容量、用途にもよるが最大300マイル（約480km）となる。

　同社のセールス＆フィールドオペレーション担当シニアバイスプレジデント（SVP）のジャスティナ・モロシン氏は次のようにコメントしている。

「インターナショナルのBEVクラス8トラックをお客様に提供できることを大変嬉しく思っています。この新しいソリューションは既存のBEVラインナップを完璧に補完し、当社のイノベーションへのコミットメントを明確にします。私たちは購入から継続的なサポートまで、シームレスでスムーズな顧客体験を提供することに注力しています」。

　eRHのベースは車名からもわかる通り、地場輸送用大型ディーゼルトラックの「RH」だ。ボンネット型が多い米国の大型トラックはキャブ前後長が長いが、RHのBBC（バンパーからキャブ後ろまでの長さ）は113インチ（約287センチ）で小回りが利き、前方視界にも優れる。また安全運転を支援する統合されたADASと人間工学に基づいた設計により使いやすさを向上させているという。

　研究開発を担当するエグゼクティブバイスプレジデントのマイケル・グラエ氏は、eRHの開発はインターナショナルのすべての部門を横断するチームによる成果だとした上で次のようにコメントしている。

「eRHを市場に投入することは決して容易なことではなく、だれもが誇りに思っています。eRHはお客様の現在のニーズを満たすだけではなく、トラック運送業界が進化する中で将来のニーズについても満たし続けられるように、開発プロセスの全体に渡ってお客様と緊密に連携してきました」。

　搭載するリチウムイオン電池はNMC（ニッケル・マンガン・コバルト）タイプで使用可能容量は300kWhから500kWhとなる。コンパクトなスペースと高いエネルギー密度を両立し、積載量を確保するため軽量化も追及した。

　駆動軸はタンデム（6×4）とシングル（4×2）の両方ともeアクスル（車軸にモーター・トランスミッションなどを組み込んだ電動アクスル）を採用し、ドライブトレーンの複雑さを排し、効率を最大化することを選んだ。特装向けなど用途の選択肢は限られるがパフォーマンスは最適化され、運行コストの低減に寄与する。

　ドライバーが選択可能な3段階の回生ブレーキを備え、航続距離を伸ばしながらニーズに合った走行を可能にしている。

　いっぽう、ロジスティクスやトラックのリースを行なっている米ペンスキーで調達・車両計画を担当するSVPのポール・ローザ氏が次のように述べており、どうやら同社がローンチカスタマーとなるようだ。

「BEVトラックが利用可能になり次第すぐに導入できるように、インフラから運用、トレーニングにも多額の投資を行なってきました。eRHの機能性を最初に試すことができるのは光栄なことです」。

　eRHは2026年上半期に量産を開始する予定で、4月28日から5月1日まで米国で開催されるACTエキスポにも出展する。