今年2月1日より日産ディーゼル工業から社名変更したUDトラックスだが、ここに来て、より一層ボルボ・グループの一翼を担うメーカーとして、その協業の成果を示し始めた。
今月6日、同社はマスコミ向けに「上尾工場新エンジンライン視察会、新大型トラック・クオン試乗会」を開催。試乗も含め工場内の秘密保持規約のため撮影はNGというのにはちょっとブーイングだが、上尾工場新エンジンラインの見学はなかなか面白かった。このエンジンラインは、もちろんポスト新長期排ガス規制に適合した「クオン」に搭載されるボルボ製のGH11型およびGH13型エンジン、そしてUDトラックスが開発した中型トラック用のGH7型エンジンの組み立てラインのこと。
設備とシステムはボルボ・グループと統一し、さらに高い品質管理を実現。実際、その組み立てラインは、精密機械のクリーンルームといってもいいほど清潔かつ静粛で、ロボットや自動搬送車が多用されていた。実は、キャップはこの10日ほど前にベンツのマンハイムのエンジン工場を訪れ、三菱ふそうスーパーグレート向けの6R10型エンジンの製造ラインを見学したのだが、あちらも極めて近代的なラインだったが、上尾工場のそれは未来的と称した方がいいくらい、とてもトラックのエンジンの組み立てラインには見えないほど近代的な設備だった。ちなみに生産能力は年間4万台だが、機種の変動や生産量にフレキシブルに対応できるラインなのだとか。
さらに、その2日後の10月8日には、ポスト新長期排ガス規制に適合したボルボFHの6×4および4×2のトラクタを、UDトラックス系の販売会社で発売することを正式に発表。同日、スウェーデン大使館において「UDトラックス・トラクタセミナー」も開催された。
特にFH6×4トラクタは、UDトラックスのクオンGWの後継という位置づけで、車種を整理しつつボルボとの商品の補完が始まったことを意味し、なかなか興味深い。また、UDトラックス系の販社でボルボ・トラクタを取り扱うようになったのは、FHとクオンにおいて、サービスで一番大きなファクターとなるエンジンの共通化が図られたことも大きな要因であろう。ボルボ・グループの中で、いかにアイデンティティを確立できるか、UDトラックスもこれからが正念場。ちなみにUDトラックスは、ボルボの100%子会社である。