レドヴィンカのコンセプトは健在
キャブやエンジン、トランスミッションは外部から調達するが、タトラ車の特徴といえば、やはり独特のフレーム構造にあるだろう。
一般的に大型トラックのほとんどはハシゴ型のフレーム(ラダーフレーム)を持つ。これはシャシーとは別にボディを架装するトラックにとって極めて有利な構造だからだ。
ただしタトラは、ハンス・レドヴィンカが設計したとされる、セントラル・バックボーン・チューブというフレーム構造と独立懸架のスイング式ハーフアクスルを採用している。この伝統はトラック用フレームとして実に100年近くに及び、新世代のフェニックスにも受け継がれるようだ。
伝統のシャシーコンセプトは、背骨(バックボーン)にあたるチューブ状のフレームに、ドライブシャフトとディファレンシャルを組み込み、ここに独立懸架エアサスのスイング式ハーフアクスルを組み合わせるという、全輪駆動の大型トラックとして他に類を見ない唯一無二の構造だ。
新世代では「ベーシックな」シャシー構成として4×4(2軸4輪駆動)、6×6(3軸6輪駆動)、8×8(4軸8輪駆動)と8×6(4軸6輪駆動)を用意する。4軸車は1+3(前1軸+後3軸)構成も可能。また、モジュール化により駆動軸の追加も容易で、ユーザーの要望に応じて14×10などの多軸構成やステア可能なリアアクスルの追加も可能としている。
この独特のシャシーコンセプトには多くの利点があると説明するのは、同社の副会長でエグゼクティブ・ディレクターのペトル・ブルシク氏だ。
「まず、固定軸と比べて振動を大幅に減らすことができます。これはドライバーの快適性だけでなく、道路や路面へのダメージを減らす効果があり、全地形で高速走行が可能になります。また、トーション(ねじり)/ベンド(曲げ)への耐性が高く、障害物回避のために急旋回しても安定した操縦が可能です。これは道路とオフロードの両方で役に立ちます。
(バックボーンチューブの弱点となる架装性に関しては)サブフレームを(リベットでは無く)溶接構造とすることで、様々な上モノを架装することができます。ほとんどのケースでは、いわゆる中間フレームが不要となるため重心位置が低くなり、積載量を確保できます」。
実際、シャシーの耐用年数が長めに設定されているのは、トーション/ベンドという機械的ストレスが少ないためで、ドライブシャフトがチューブ内にあるので地形や環境からの影響も少ない。駆動系の信頼性は高く、省メンテナンスで低サービスコストという利点もある。
日本で実車を見る機会は少ないが、タトラ車のオフロード性能の高さは、クロスカントリーラリーの最高峰とされる「ダカールラリー」などを通じて広く知られている。
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