ホンダは北米市場における将来的な燃料電池製品の拡大に向けて、初めての大型トラックコンセプトを公開した。新型の燃料電池システムはGMとの合弁会社で製造する量産型で、前世代比でコストを低減した上で性能は向上、耐久性は2倍に高めたという。
このほか、2024年2月に東京で世界初公開され、同年夏に日本で発売予定となっている量産型プラグイン燃料電池自動車「CR-V e:FCEV」なども展示した(米国初公開)。CR-V e:FCEVは同年中に米国でも発売する予定だ。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/American Honda Motor Co., Inc.・Peterbilt
ホンダが米国で燃料電池大型トラックを公開
数多くのトラックショーが開催される米国だが、流行り・廃りも激しく、近年ではACT(アドバンスト・クリーン・トランスポーテーション)エキスポが重視されている。
そのACTエキスポに、乗用車メーカーのホンダが世界初公開の「クラス8水素燃料電池トラック」というコンセプト車両を出展した。「クラス8」は米国の重量車区分で最も重いトラック(総重量80,000ポンド=約36トン級のトラック)に相当する。
こうしたデモンストレーションなどを通じて、北米市場において将来的に燃料電池製品を投入することを目指している。
ホンダは2050年までにすべての製品でのカーボンニュートラル達成と事業による環境への影響をゼロにするという目標に向けて、水素ビジネスを拡大するためのパートナーを探している。
アメリカン・ホンダ・モーターの役員で持続可能性&ビジネス開発を担当するライアン・ハーティ氏は次のように話している。
「クラス8を含む商用車において、燃料電池技術は既存のディーゼル車に代わる最良の選択肢であり、ホンダの広範な水素ビジネス戦略においても重要な位置にあります。
ホンダはこうした水素燃料電池ソリューションを、ここ北米市場に投入するため、コラボレーション可能なビジネスやお客様を積極的に探しています」。
実際に運行可能なホンダのクラス8トラックは、新型燃料電池(FC)システムを3基搭載する。これは、ホンダとゼネラル・モーターズ(GM)の合弁企業であるフューエル・セル・システム・マニュファクチャリング社(FCSM、米国ミシガン州)が量産するもの。
新型FCシステムはホンダの水素ビジネス戦略においても重要なものとなる。ホンダとGMは過去10年間に渡り共同開発を続けており、前世代比で性能向上を実現しつつ耐久性は2倍となり、コストは3分の2まで低減した(ホンダ「クラリティ・フューエル・セル」に搭載した燃料電池システムとの比較)。
この新型燃料電池システムを活用するにあたって、当初から重要になるコア領域が4つあるとホンダは考えている。燃料電池電気自動車(FCEV)、燃料電池商用車、定置発電機、建設機械の4つだ(なお日本の商用車分野では、いすゞ自動車と共同で燃料電池トラックの開発を進めている)。
ACTエキスポでは展示に加えて、ホンダの水素計画の詳細についてハーティ氏による基調講演も行なわれる。
ホンダのACTエキスポ展示内容と燃料電池トラック
ホンダはACTエキスポのブース#1031に次のようなゼロエミッション商品と技術を展示する。
・クラス8燃料電池トラックコンセプト : ACTエキスポで世界初公開
・2025 ホンダ CR-V e:FCEV : 量産型プラグイン水素燃料電池車(米国初公開)
・ホンダの燃料電池システム : 脱炭素社会の実現に向けて水素の活用を推進するホンダの戦略の中心にある
・ホンダの自動運転ワークビークル(AWV) : 職場の効率を向上し、反復作業などを支援する全電動オフロード車のプロトタイプ
展示するクラス8水素燃料電池トラックコンセプトの車両緒元は以下のようになっている。
全長/全幅/全高 : 8,000mm / 2,400mm / 4,000mm
連結総重量 : 37,273kg
車両重量/積載量(目標値) : 12,918kg / 24,355kg
最高速度 : 70MPH (約113km/h)
航続距離(積載時、推定) : 400マイル(約644km)
FCシステム出力 : 合計240kW(80kW FC * 3基)
タンク容量@圧力 : 82kg@700bar(気体の高圧水素)
バッテリー容量 : 120kWh
なお、ホンダのプレスリリースにおいてベース車両への言及はないが、米国・ピータービルトのクラス8バッテリーEV「モデル579EV」に見える。
ピータービルトは米国のケンワースやオランダのDAFなどと共にパッカーグループに属し燃料電池技術にも積極的だが、ケンワースは燃料電池トラックをトヨタと共同開発しており、パッカーとしてもFCEVでトヨタと提携しているのは気になるところだ。
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