ホンダの燃料電池システムを搭載した小型トラックの走行実証実験が、このほど中国でスタートした。ホンダの中国現地法人・本田技研工業(中国)投資有限公司が1月11日に発表したもので、中国の大手自動車メーカー・東風汽車グループと共同で、商用車における燃料電池システムの有用性を検証していく。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部、写真/ホンダ、東風汽車、「フルロード」編集部
商用車分野でのFC技術を検証
ホンダは、脱炭素技術の一つである燃料電池(FC)の開発・実用化でリードしているが、乗用車とは異なった使用環境下にある商用車、産業機械などへの展開・応用について研究を進めている。特に2020年から、いすゞ自動車と大型FCトラックの共同研究に取り組んでいることが知られている。
今回発表した小型FCトラック実証実験は、中国最大手の商用車メーカーでもある東風汽車グループと、実走行を含むさまざまな条件下において、ホンダFCシステムの環境適合性、燃費性能、耐久性などを確認し、その有用性を検証するのが狙いである。
ホンダと東風汽車グループには、中国で合弁乗用車メーカー・東風本田汽車を2003年に設立して以来20年におよぶ関係があり、ホンダでは今回の実証試験について「(両社の)新たな取り組み」と表現している。
実はFCトラックで豊富な経験を持つ東風
実証試験は1月から湖北省で進められているが、発表に先立って、東風トラックに対するホンダFCシステムの適合性についての検証が行なわれたとし、すでに試験車が完成していることがうかがえる。
ホンダが発表した写真には、水素燃料用圧力容器をキャブバックに搭載した車両の一部が写りこんでいる。明らかに試験車とみられるが、このクルマは東風傘下の小型商用車メーカー、東風軽型車の最新小型トラック「凱普徳・星雲(キャプテン・ネビュラ)」ベースのようだ。
いっぽうの東風汽車グループからは、報道向け発信は行なわれていない。ただ、同社でも、乗用車・商用車ともに電動化開発を進めているところで、FCトラックについては、小型から大型まで、さまざまな実証試験車を開発してきた経験がある。
それらが搭載したFCシステムには、複数の中国FCメーカーに加えて、東風自身が開発を進めているものも含まれている。今回の実証試験は、世界屈指のFC技術を有するホンダ、FCトラックで豊富な実験経験をもつ東風の双方に、貴重な知見をもたらすことになるだろう。
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