5月8日、日野自動車は中型トラック「日野レンジャー」を一部改良し、同日から発売を開始した。安全装備の拡充を図った今回の改良、その詳細をお伝えしよう。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部、写真/日野自動車
改良の背景
今回の改良は、側方衝突警報装置(BSIS)の法規対応として実施されたもの。
車高が高いトラックは、車体のそばにあるモノの見通しが悪く、歩行者や自転車を巻き込むような死亡事故がたびたび発生している。
こうした状況を踏まえ、道路通行車両の保安基準の改正が2019年11月に行なわれ、日本の右ハンドル車で特に死傷事故の多い左折巻き込み事故を防止する装置の装着がGVW8t超の中・大型トラックに義務化された。
新型車では2022年5月からすでに義務化されているが、継続生産車は2024年5月からとなっており、今回後者に該当する日野レンジャー(GVW7.6〜19.8tを設定)の一部車種の改良が行なわれた格好だ。
改良点としては、サイトアラウンドモニターシステム(SAMS)に、従来から搭載済みの出会い頭警報(FCTA)に加え、左折時に左側方の移動物を検知する左折巻き込み警報(BSIS)、車線変更時にミラーでは確認しにくい左右側方の移動物を検知する車線変更警報(BSD)を標準装備として新規追加した。
また、今回の改良モデルからは左右のピラー部にランプも新たに追加。これらの機能により、右左折時や車線変更時に衝突の危険性が高まった際、ブザー音とピラー部の表示灯でドライバーに注意を促すことで、安全運転のサポートを行なう。
また、同じく5月から義務化(継続生産車)されるバックカメラ・モニターも今回から標準装備となっている。
サイトアラウンドモニターシステムの詳細
【出会い頭警報(FCTA)】
2021年モデルから標準装備となっているサイトアラウンドモニターシステムのFCTAは、左右フロントに配置した広角ミリ波レーダーで前方死角エリアでの移動物を検知し、衝突のおそれがある場合にランプ表示と警報音でドライバーに注意を促すというもの。見通しの悪い交差点での出会い頭の事故や、右左折時の前方死角での接触事故などを抑制する。
【左折巻き込み警報(BSIS)】
左側方のミリ波レーダーが自転車や歩行者などの移動物を検知すると、ピラー部の表示灯が黄色に点灯しドライバーに注意を喚起。さらに、左折操作を行い衝突する可能性が高まると、警報音とともにピラー部の表示灯が赤色に点滅し注意を促すことで、巻き込み事故防止に寄与する。
【車線変更警報(BDS)】
左右側方のミリ波レーダーが、ミラーでは確認しにくい位置の自動車やオートバイなどの移動物を検知。ピラー部の表示灯が黄色に点灯しドライバーに注意喚起を行なう。さらに、車線変更操作を行ない、衝突する可能性が高まると、警報音とともにピラー部の表示灯が赤色に点滅し注意を促すことで、安全な車線変更に貢献する。
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