EVトラック「専用」も登場!!  トーヨータイヤが小型トラック向けリブタイヤ2種を発売へ

NANOENERGY M151 EVの採用技術と特徴

EV専用タイヤとして開発したNANOENERGY M151 EV
EV専用タイヤとして開発したNANOENERGY M151 EV

 いっぽうNANOENERGY M151 EVは、トラック・バス用タイヤとしては初のEV「専用」タイヤで、BEVの欠点である短い航続距離、重いバッテリー搭載による荷重増、モーター駆動による走り出しに発生する最大トルクなどから、低電費性能や耐摩耗・偏摩耗性能、さらに低ノイズ・静粛性能、低メンテナンスの向上を目指して開発したタイヤとなっている。

 最大の特徴はEV専用非対称パターンを採用し、トレッド面の左右で異なる縦溝のリブタイヤとブロック状のオールウェザータイヤのパターンを組み込み、両者のメリットを融合させることでEVトラックの特性に対応させているところだ。

M151 EVが採用しているEV専用非対称パターン
M151 EVが採用しているEV専用非対称パターン

 リブタイヤは剛性が高く低電費性能や耐摩耗性能・耐偏摩耗性能、低静粛性能に優れ、オールウェザータイヤではブロックのエッジ効果によりトラクション性能やグリップ力に優れる特徴がある。

 トラックのフロントタイヤは旋回の影響により外側から偏摩耗しやすくなるが、M151 EVを正しく装着すると、フロントタイヤの外側にリブ形状が来るようになり耐偏摩耗性能が高められるようになる。いっぽうリアのダブルタイヤには、モーター駆動の高トルクに負けないトラクション性能・グリップ力が必要であることから、ブロックパターンが外側に配置される(下図参照)。

正しい装着イメージ。非対称パターンの効果を発揮するためにはタイヤサイドのセリアル側がホイールディスク面にくるように装着を行なう必要がある
正しい装着イメージ。非対称パターンの効果を発揮するためにはタイヤサイドのセリアル側がホイールディスク面にくるように装着を行なう必要がある

 さらに、一番外側のリブ形状を幅広にし剛性を確保することで偏摩耗を抑制したほか、ブロック形状部では先述のM135と同様、センター部分を幅広にすることで接地面積を確保、空車時でもトラクションを発揮できるようなパターンが採用されている。

 またタイヤ材料の配合には、ナノバランステクノロジーを活用した「耐摩耗NCP(ナノコンポジットポリマー)配合」が行なわれている。

 NCPとはナノバランステクノロジーの1つ「ナノ加工」を活用した技術で、従来の加工法では固形のゴムと粉体の充填剤を混ぜ合わせるものだが、新たな加工法では液体の原料ゴムと液体の充填剤を混ぜ合わせて、脱水処理を行なっている。

 この工程を加えることで原料ゴムと充填剤が均一に混ざり高分散化されたフィラー状態の配合を作ることができ、フィラーが接触する際のエネルギーロス発生を抑制(耐摩耗性能や低電費性能に寄与)する。

耐摩耗NCPコンパウンドを採用することで低電費性能と耐摩耗性能を向上
耐摩耗NCPコンパウンドを採用することで低電費性能と耐摩耗性能を向上

 このNCP技術に加えて、変形時の破壊を抑制する耐摩耗ポリマーとその結合を高める高活性耐摩耗カーボンを配合したものが、新配合の耐摩耗NCP配合で、これにより低電費性能と耐摩耗性能を高次元で両立させた。

 これらの新技術を取り入れることで、M151 EVは低メンテナンス性能重視型リブタイヤ「M125ZB」比で摩耗ライフが21%向上、転がり抵抗でも有利な純リブタイヤに対して2%低減させることができた。

 なお、6月に発売を予定するタイヤサイズは1サイズのみで、具体的には三菱ふそうのEV小型トラック「eキャンター」の一部モデルに適合した215/70R17.5 123/121Jとなる見込みだ。

【画像ギャラリー】トーヨータイヤの新製品「ナノエナジーM151 EV」と「デルベックスM135」をチェック!!(16枚)画像ギャラリー

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