元請事業者も実運送会社に配慮を
国土交通省の調査によると、希望額の運賃を収受できている実運送会社は全体の2割に過ぎないという。
2024年1月には大手運送会社のヤマト運輸が元請事業者としてトラックGメンの「勧告」対象となった。下請に対する不当な扱いはGメンのほか公正取引委員会による対処の恐れがあり、元請運送会社も実運送会社の運賃に配慮する必要がある。
提言では、下請が低運賃で運行せざるを得ない事態を避けるため、元請は標準的な運賃に加えて告示で定める利用運送手数料10%を収受するよう荷主と積極的に交渉を行なうべきとした。また、手数料の収受が難しい場合でも標準的な運賃の水準を確保し、実運送事業者に適正な運賃を支払う。
水屋については何らかの規制をすべきとし、元請と同様、運賃とは別に手数料を確保し、実運送会社に適正な運賃を支払うとした。また国交省等が適切な事業かチェックする仕組みを設けることも提言している。
採算の取れない低運賃の取引を防ぐため、貨物のマッチングサイト等では標準的な運賃を大幅に下回る運賃がサイト等に掲載されないよう、厳しく規制すべきとした。明らかに採算の取れない運賃は過積載等を前提にしているケースもあり、法令違反の温床となりかねない。
このため著しく低い運賃を掲示する利用者は、トラックGメンによる監視・監査の対象とすべきとした。
いっぽう、運送業界に「帰り荷は低い運賃で良い」という考え方が残っている限り業界全体の運賃が低下するとして、「帰り荷=低い運賃」という考え方を一掃することも提言している。
国交省が告示する「標準的な運賃」は、帰り荷がない場合でも採算がとれる水準となっており、帰り荷の運賃を抑えるのではなく、往路・復路での「往復割引」を設定するなど、荷主の理解を得るべきとした。
このほか、中小企業には負担の大きい「実運送体制管理簿」の義務化に際して丁寧な指導をすることや、その効果の検証、すべての運送会社に対するこれらの項目の周知・徹底、一定期間が経過しても改善が見られない場合の厳正な対処なども提言した。
なお、車両を保有しない利用運送専業事業者のトラック協会への入会は現在は都道府県トラック協会ごとの判断に委ねられており、北海道の7地区協会を含む54協会のうち30協会で「入会可」とされている。
提言では、今後は各都道府県トラック協会において、利用運送専業事業者を「入会させない」とするルールが必要であるとしており、トラック協会自身の改革の必要性にも言及している。
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コメント
コメントの使い方さて、どこまで実現するだろう?。チクリ場所が欲しいよね。罰則も簡単なものではなく、資格剥奪くらいやって欲しい。