トラックドライバーの10%賃上げに「多重下請」の規制!? 2024年問題で政府が「物流改革」に本腰

政府方針でトラックドライバーは「事実上10%を上回る賃上げ」

トラックドライバーの10%賃上げに「多重下請」の規制!? 2024年問題で政府が「物流改革」に本腰
意見交換のまとめを行なう岸田総理

 物流法・トラック法の改正を閣議決定したことを受けて、岸田総理は2月16日に首相官邸で関係団体・事業者と物流革新・賃上げに関する意見交換会を行なった。意見交換を踏まえて総理は次のように述べ、トラックドライバーの「10%以上の賃上げ」など中長期計画に基づきあらゆる手段を講じるとした。

 「物流は国民生活、経済を支える社会インフラですが、物流の停滞が懸念される2024年問題に直面しています。この2024年問題は、我が国の生産年齢人口の減少に伴い、年々深刻化していく構造的な問題であり、物流業界のみならず、荷主である産業界、消費者、そして政府が同じ危機感を持って取り組まなければなりません。

 本日、高速道路・鉄道・船舶のインフラ革新を含め、2030年度に向けた政府の中長期計画を取りまとめました。この計画に基づき、政府全体で産業界の皆様とも連携し、我が国の物流の革新を実現してまいります。

 そして、岸田内閣では物価上昇を上回る賃上げの実現に総力を挙げて取り組んでおり、特に中小零細事業者の賃上げが最重要課題となっています。こうした中、昨年実施した点検で、道路貨物運送業は発注者の立場で価格転嫁を十分に受け入れていない割合が半数を超え、ワースト・ワンの業種という結果でした。この結果を重く受け止め、労務費等の適正な価格転嫁により、物流に関わる中小零細事業者の賃金を大幅に引き上げていく必要があります。

 政府としては、来月、トラック運送業の標準的運賃を8%引き上げるとともに、荷役対価や下請手数料等の各種経費も新たに加算できるよう措置いたしました。これにより、10%前後の賃上げが期待できます。

 これに関連して、公共事業の積算に活用する労務単価を、一般運転手は最も高い水準となる7.2%の引上げを行ないます。これに、荷待ち・荷役の対価等が適切に加算されると、事実上10%を上回る引上げとなります。

 さらに、構造的な対策として、賃上げ原資確保のための適正運賃導入や、物流効率化を進めるための法案を閣議決定し、今国会に提出いたしました。その他、賃上げ税制の大幅な拡充強化、公正取引委員会による労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針、公正取引委員会や(トラック)Gメンの体制強化等、あらゆる手段を講じて、構造的な賃上げ環境をつくってまいります。

 本日、業界団体の皆様から賃上げ、労働環境改善に向けた取組に向けて説明を頂きました。特に、トラックドライバー等の賃上げに向けて、積極的に取り組んでいくとの決意表明を頂き、大変心強く感じております。我が国の物流の持続的成長の実現に向けて、全力で取り組んでいきたいと存じます」。

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