エエーッ! なんで!? 日野自動車がVW傘下のTRATONとの戦略的協力関係構築の枠組みを解消!

エエーッ! なんで!? 日野自動車がVW傘下のTRATONとの戦略的協力関係構築の枠組みを解消!

 4月26日の今日、日野自動車の2023年3月期の決算発表が行なわれたのですが、その中でちょっと衝撃的な発表がありました。

 5年前にVW傘下のTRATON(トレイトン)社との間で結ばれた「戦略的協力関係構築の枠組みに関する合意書」を解消するというのです。

 TRATONといえば、旧フォルクスワーゲン・トラック&バスグループで、傘下には、ドイツのMAN、スウェーデンのスカニア、米国のナビスター・インターナショナル、ブラジルのフォルクスワーゲン・カミニョイス・イ・オニブス、さらにデジタルソリューションサービスのRIOなどを有する世界的な商用車グループの一角。

 百年に一度の大変革が進行する中、このアライアンスは肯定的に受け止められていましたが、なぜ今、解消なんでしょう? なにはともあれ発表された情報を速報します。

文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部

本合意書の概要と解消理由、これまでの主な成果

旧フォルクスワーゲン・トラック&バスグループのTRATON。日本でもおなじみのスカニアもTRATON傘下である
旧フォルクスワーゲン・トラック&バスグループのTRATON。日本でもおなじみのスカニアもTRATON傘下である

 以下に発表内容を紹介します。

 日野自動車は、2023年4月26日開催の取締役会決議に基づき、TRATON社と「戦略的協力関係構築の枠組みに関する合意書」(以下、「本合意書」)の解消について合意したことを以下の通り、お知らせいたします。

 両社は、多様化する世界中のお客様のニーズに対し価値を提供し、お客様のビジネスを支え、社会に貢献し続けるため、2018年4月に本合意書を締結いたしましたが、この度、両社それぞれが現在抱える経営課題への対応を優先させるべく本合意書を解消することといたしました。

 なお、本合意書に基づく日野自動車としての主な成果は以下の通りです。

・2019年に調達合弁会社を設立。調達基盤の強化に大きな成果がありました。

・海外、特に欧州におけるカーボンニュートラル動向に関する知識が得られました。

・その他、各種協業検討に伴う社内討議を通じ、気づき・学びを得ております。

VW傘下のTRATON社の概要

1)名称:TRATON SE

2)本社所在:ドイツ連邦共和国

3)代表者:Christian Levin

4)事業内容:トラック・バス等の製造、販売

5)設立年:2013年にVolkswagenAGにより子会社化

6)大株主及び持ち分比率:フォルクスワーゲングループ(89.72%)

7)日野自動車との関係:資本関係、人的関係、取引関係いずれも特になし

 2023年4月26日に両社で解消について合意しました。

 本合意書の解消に伴い、それに基づき締結された各協業も解消または終了をいたします。なお、本件が日野自動車の業績に与える影響は軽微です。

*        *        *

 「業績に与える影響は軽微」と結ばれていますが、確かに今回の「戦略的協力関係構築の枠組み」は、これまで大した成果を残していません。

 しかし、百年に一度の大変革を乗り切るためには、これから関係を強化し実績を積み重ねていくことが求められていたはず。

 しかし、日野自動車にとってはそうであっても、TRATON側にとっては必ずしもそうではなかったのかもしれません。

 つまり、日野との戦略的協力関係を構築する意味があまり感じられず、結果的にTRATON側が「袖にした」のではないかと見られます。

 解消の理由は「両社それぞれが現在抱える経営課題への対応を優先させる」ためとしており、そこには、言うまでもなく日野自動車が抱える「認証不正問題」が大きく影響したと思われます。

【画像ギャラリー】日野自動車とTRATON傘下のトラックメーカー(6枚)画像ギャラリー

最新号

【特集】いすゞ新型フォワード 16年ぶりのフルチェンジで7代目へ! フルロードvol.52 本日(3/11)発売!!

【特集】いすゞ新型フォワード 16年ぶりのフルチェンジで7代目へ! フルロードvol.52 本日(3/11)発売!!

 自動車雑誌ナンバーワンの「ベストカー」が自信をもってお送りする本格派のトラックマガジン!  16年…