エコと安全と経済性を両立!? 大型車では必須のリトレッド技術とは

■経費削減に資するからこそ大切な台タイヤのチェックと使用管理

タイヤサイドの傷。えぐった傷は論外。場合によっては擦り傷も部材の強度低下の可能性から台タイヤ不適合になることも……
タイヤサイドの傷。えぐった傷は論外。場合によっては擦り傷も部材の強度低下の可能性から台タイヤ不適合になることも……

 しかし、どんなタイヤでもリトレットタイヤに生まれ変われるというわけではありません。台タイヤとして使用できる条件を満たす必要があります。リトレッドメーカー全て共通ではございませんが、参考にしていただければ幸いです。

 まず我々が台タイヤを回収して委託として出す前に「セリアル」をチェックします。つまりタイヤの「年限」です。

 サイズやメーカーによって短い年限もあるのですが、通常は製造から約5、6年です。古い台タイヤはそれだけで不適合としております。

 次にタイヤサイド部の傷。タイヤサイドはトレッド部分に比べかなり薄皮ですので、えぐった傷はもちろんのこと、文字表記が消えそうなくらいの擦り傷等は適合されません。ただ浅い傷ならば補修して使う場合もございます。

 残溝は約3mmくらいで台タイヤとしてリトレッドに出すというのが理想です。

写真の残溝はこの状態で約3mm。このくらいで台タイヤとして委託されれば不適合リスクも低くなる
写真の残溝はこの状態で約3mm。このくらいで台タイヤとして委託されれば不適合リスクも低くなる

 車検をパスするギリギリの残溝の場合ですと、小さな釘やピンのようなものでパンクする場合もありますし、パンクに至らなくても「貫通相当」の傷を受ける可能性が高くなるからです。

 また、製造工場で「バフ工程」といいましてトレッドゴムを貼り付ける部分を削る工程があるのですが、残溝ギリギリまで使用した場合はこの工程で台タイヤ不適合になるケースも少なくないそうです。

逆にこちらは使いすぎの例。絶対に不適合とはならないが、不適合の可能性大
逆にこちらは使いすぎの例。絶対に不適合とはならないが、不適合の可能性大

 パンク修理歴有は、弊社の基準では、たとえ大きな傷も無く残溝もある「優良台」に見えるタイヤでも不適合とされます。理由は低圧で走行(使用)し、タイヤ内部の部材に負荷がかかっている可能性があるとみなされるからなんですね。

 またパンクに至らない「貫通相当」の傷があった場合も不適合となります。これはトレッドゴムの下の、スチールベルトまで異物が刺さっていた場合で、ベルトの切断や錆等による強度低下が懸念され、バーストに至る可能性があるためです。

ケースの耐久性を確保し、リトレッド回数を2回に増やすことを可能にした製品も登場している(ブリヂストンM800)
ケースの耐久性を確保し、リトレッド回数を2回に増やすことを可能にした製品も登場している(ブリヂストンM800)

 リトレッドメーカーはタイヤメーカーに関係なく製造できますが、一部のメーカーは「同一メーカーのみ」であったり、台タイヤの種類によって希望のトレッドパターンができない場合があります。

 たとえば低燃費タイヤはトレッド部分に抵抗の少ないゴムを使用していますが、タイヤ本体も転がり抵抗を低くする構造になっているため、通常のタイヤ構造とは少し違います。

 ですので、低燃費のリトレッドを装着(委託製造)したい場合は、通常の台タイヤに低燃費トレッドだけを貼り付けても燃費向上は期待できないので製造できません。ただ汎用パターンでしたら低燃費の台タイヤでもリトレッドは製造できる場合があります。

 また、これも一部ですが、台タイヤとして使用できないメーカーもございます。詳しくは書けませんが、タイヤ本体の強度の問題があるようです。

 ただ通常使用で問題があるということではなく、リトレッドでタイヤ寿命を延ばした場合に「もしかしたら……」という懸念からの対策ということです。世の中に強度の低いタイヤが出回っているってことではございませんので、どうぞご安心を!

【画像ギャラリー】まだまだ元気な使用済みタイヤを再生して利用するリトレッドタイヤはタイヤ界の『再雇用シニア』や〜!!

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