リトレッドタイヤとは一次寿命を終えたタイヤのトレッドゴム(タイヤの接地面のゴム)を張り替えて再利用するタイヤのこと。更生タイヤまたは再生タイヤとも呼ばれています。
このリトレッドタイヤ、新品タイヤを製造する場合に比べ6~7割程度資源の使用を抑えられ、販売価格も新品タイヤの約6〜7割とのこと。環境にも経費的にもよい製品として最近注目されてきています。
とはいえ、現在国内で製造されるリトレッドタイヤは商用車や航空機向けのみで、日本の普及率は約2割程度。まだ認知されているとは言い難いのが現状ですが、エコでエコノミーとなれば、知識を深めておいても損はないでしょう。
そこでリトレッドタイヤの基礎知識から土台となるタイヤの使用管理まで、ブリヂストン系列の現役タイヤマンであるハマダユキオさんに解説してもらいました。
文・写真/ハマダユキオ&フルロード編集部
※2020年6月発売トラックマガジン「フルロード」第37号より
【画像ギャラリー】まだまだ元気な使用済みタイヤを再生して利用するリトレッドタイヤはタイヤ界の『再雇用シニア』や〜!!
■知っていますか? リトレッドタイヤの基礎知識
リトレッドタイヤは、3Rの基盤となっている「循環型社会形成推進基本法」が導入された2000年よりはるか以前から製造されているタイヤなのですが、現場の目線では「ここ十数年でようやく受け入れられつつあるかな」と感じています。
日本ではまだまだ発展途上な感じも否めませんが、アメリカでは約5割の普及率だそうですよ。とはいっても日本国内に新品タイヤメーカーが4社で21工場あるのに対し、リトレッド製造工場も21社、40工場あり、意外と多いんです。
リトレッドタイヤの製造方法は、板状の模様の入っていないゴムを台タイヤに貼り付け金型(モールド)で加硫する「リモールド」方式、板状のゴムに模様が入っているゴムを貼り付ける「プレキュア」方式があります。
我々はリモールド方式を通称「HOT」、プレキュア方式を「COLD」と呼んでいます。いずれも加硫するのに専用の窯に入れ熱を加えるのですが、HOTは約160°C、COLDは約120°C(温度はメーカーによって多少変化するようです)で加硫いたします。
この製造の違いによりCOLDの場合は多品種少量、HOTの場合は少品種大量生産ができるという特徴があります。
また、細かくいいますと、リトレッドには「委託」と「台付き」という分類もあります。
「委託」というのは、ユーザーさんが一次寿命まで使用したタイヤを、希望のパターンのタイヤに仕上げて、再びユーザーさんの元へ帰っていくことです。自社で使用したタイヤということもあり、使用履歴が明らかであります。
「台付き」というのは台タイヤごとタイヤ屋やリトレッドメーカーが保有している在庫のことです。「台」あるいは「台タイヤ」というのは、タイヤの山以外の部分のことで、「土台」のイメージですかね。「ケーシング」ともいいます。