■650PS/3300Nmで100tも余裕のモンスター スカニアの総輪駆動トラクタの実力は?
スカニアS650トラクタは、スカニアジャパンの正規ディーラーで、特殊車両や重機械の販売・メンテナンスを得意とする阪東自動車工業(大阪府東大阪市)がスウェーデンのスカニア本社に特注し、国内限定15台で販売したもの。
日本仕様に未設定のオフロード用6×6シャシーをベースとしており、国産の重量物運搬用トラクタの第5輪荷重20t前後を大きく上回る28tを確保。トラクタの第5輪荷重は単車のトラックの最大積載量に相当。数値が大きければ大きいほど重たい荷物を運ぶことが可能だ。
キャブは最上級Sキャブのロールーフ仕様。車両寸法は全長8165×全幅2495×全高3550mmで、カプラ高は1665mm。GVW(車両総重量)は40740kgとなっている。
パワートレーンは、V型8気筒「DC16」型エンジン(16.5L)に、12段AMT「スカニアオプティクルーズ」の組み合わせ。スペックは最高出力650PS、最大トルク3300Nmを誇る。
AMTとは、電子制御式MTを意味する「オートメーテッド・マニュアル・トランスミッション」の略。同車両のAMTは通常走行用のアクセルとブレーキの2ペダルに加え、微速走行用のクラッチペダルも備わる3ペダル式(クラッチオンデマンド式)となっている。
駆動方式は6×6の総輪駆動で、運転席のダイヤルレバーの操作でトランスファーの駆動力配分を切替可能。なお、登録上のGCW(連結車両総重量)の数値が大きい重量物運搬用トラクタのため、上限速度(リミッターの作動速度)は40km/hとされている。
■最大積載量115t(構内240t)の圧倒的スペックを誇るモジュラー型コンビネーショントレーラの特徴
スカニアトラクタとセットで導入されたのが、ドイツ・ゴールドホファー社製のモジュラー型コンビネーショントレーラだ。コンビネーショントレーラは、モジュラー設計の各種アタッチメント(ボギー台車、荷台、グースネックなど)を自在に組み合わせることができるのが特徴の重量物運搬用トレーラである。
今回、中山運輸機工が導入したのは2軸ボギー台車(グースネック付)+低床ドロップデッキ+4軸ボギー台車の6軸編成で、長さが異なる2種類の低床ドロップデッキを用意。ドロップデッキの換装により、荷台全長を14000mmまたは17000mmとすることが可能だ。
ボギー台車の油圧ペンデュラムアクスルは、油圧式アクティブサスペンション1本でダブルタイヤ2組を保持。優れた路面追従性と耐荷重性に加え、車軸ステア機能や車高調整機能などを備えており、さまざまな積み荷の積載に対応する。
床面地上高は通常走行時1175mmだが、車高調整機能により875〜1475mmの範囲で変更可能。車軸ステア機能は最大55度のステア角度を誇り、ロッドの取り付け位置を変えることで、角度調整なども可能。
最大積載量は115000kgだが、ボギー台車は1軸あたり45tの許容軸重を誇り、構内など限られた場面では最大で240000kgの積み荷を積載可能。兵庫〜静岡で行なわれた国内最大級の大型プレス機輸送では、重さ約100t、長さ約19mのプレス機主要部品を余裕で運んでポテンシャルを見せつけた。
今後のさらなる活躍にも期待できそうだ。