今や日本の物流に欠かせないトラックドライバーたちだが、新型コロナウィルスによる大きな影響を受け続けている。
海外からの荷物は激減する一方で、マスクやトイレットペーパーといった日用品の不足からいつもより忙しいところもある。
テレワークが不可能なトラックドライバーたちの証言を、ベストカーのトラックマガジン『フルロード』編集部が集めた。
【フルロードとは?】
フルロードはベストカーの正統派トラックマガジン。新型車紹介や、ビルダーの手掛ける唯一無二のボディまでを網羅するドライバーさんにも人気の雑誌です。 3月10日、6月10日、9月10日、12月10日の季刊で発売。定価1200円(税別)。
文/写真:フルロード編集部
※写真はすべてイメージです。当記事内に登場する運送業者の皆さんへの直接取材はお控えください。
■新型コロナの影響でトラックの運賃が下がる
新型コロナの感染拡大の勢いが止まらない中、医療従事者や介護スタッフの懸命の努力が続いているが、ライフラインを支えるトラック運送事業者の仕事も重責を担っている。
緊急事態宣言による外出自粛で自宅で過ごす人が多くなったため、食料や生活必需品などの輸送が滞らないよう運送事業者は気を配っている。
だが、ひとたび「トイレットペーパーが不足する!」といった真偽不明の情報が流れれば、たちまち店頭から商品が消え去り、そのしわ寄せを食らうのも運送事業者である。
今は、ネットショッピングの急増で宅配トラックがパンク寸前だし、ゴミ収集車に代表される、いわゆる静脈物流もフル稼働の状況だ。
ただ、目一杯の状態で仕事をこなしている業種があるいっぽうで、物流業界全体は仕事量が減って非常に厳しい状況に置かれている。日本の経済活動が停滞し、国際的な物流も同様だからだ。
ここでは、そんなリアルな運送事業の現状を、現場の最前線にいるトラックドライバーの証言をもとにお伝えしよう。まずは、つい先日までトラックに乗っていて、今は配車係として現場の状況に対応している由美さんの話である。
「忙しいのは日用品や食品輸送だけで、あとはヒマなんですよ。店も現場もストップしていて 運ぶ物がなくて困っているくらいですから……。
トラックが余っているから運賃はさらに安くなってきています。コロナが収まって景気回復しないと おそらく運賃も元に戻らないのでは……と、とても不安です。
バスやタクシー業界だけでなく この先、倒産する運送業者もあるかもしれませんね。決まっていた荷物も急にキャンセルになったりしています。
うちの会社は歩合制なので荷物を積んで走らなければ稼げません。仕事がないのでホームセンターへの配送など、他社から仕事をもらったりしています。
生き残るために仕事を選んでいられない状況ですね。ドライバーに安定した給料を保証するために 配車のやりくりも大変です」。
■中国からのコンテナ船が激減
大阪で国際コンテナトレーラに乗っている「なぎりょうのパパ」は、
「ようやく中国からコンテナ船は来るようになりました。とはいえ、コンテナヤード全体としては暇ですね。
私が勤務する会社は、主に農業機械メーカーの製品輸送、倉庫、組み立て作業等を請負っています。
販売先は主に欧米で、アメリカもコロナで大変とのことで、今月20日頃から1週間、工場ラインを半分止めたそうです。物流は世界とつながっているので、各国の事情が即反映されるんですよ」。
同じく横浜で国際コンテナトレーラに乗っているヒロさんは、
「2月は、中国の旧正月と新型コロナの影響をモロに受け、2008年に起きた「リーマン・ショック」の時ほどではなかったものの、仕事量がガクっと落ち込み、散々たるお給料でした(涙)。
新型コロナは、自分の私生活にもさまざまな影響を及ぼし、『何だかなぁ……』っていうような、3月、4月でした」。
国際コンテナトレーラばかりでなく、影響はこんな人にも……。スクラップトレーラを運転している雅子ママある。
「新型コロナの影響を受けまくりの鉄屑屋です。コロナだけではないような感じもしますが いつ『明日から仕事ないよ』と言われるか、ビクビクしながら毎日を過ごしているのが現状です。
うちの会社のフリーの人達は交代で出勤していて、全車動いていません。私はまだ専属でよかったような……。かと言って引き取り仕事が減り売上げに繋がる仕事がないです。確実に収入は減ると思います」。