低速トルクが増えた効果は走行中の節々で体感できた。ちょっとアクセルを踏み増した際の応答性など「あれ、現行車より力があるな」という感じ。車速が下がったり抵抗が増えた際にESCOTが低回転までシフトダウンせずに粘るのも印象的で、ちょっと13L級エンジンに近づいたように思う
改良を施されて燃費/出力性能を向上させたGH11型エンジン。外観はバイパスオイルフィルタ廃止に伴いオイルフィルタが3個から2個になった以外はほとんど変わらないが、シリンダーブロック/ヘッドの強化をはじめ、補機駆動系のベルト/テンショナー強化、クランクシャフトとクランクダンパー、コンロッド、ベアリング/メタル、ピストンの仕様変更と基幹部分をほぼ全面的に刷新している
低ファイナルレシオ1.95を新設し、低フリクションピニオンベアリングを採用したディファレンシャル。この最終減速比によりギアボックスのDD化が実現した。一部車型では後軸の許容荷重アップも図られている
試乗車は日本フルハーフ製のドライウイング完成車「パーフェクトクオン」。法規対応でバンパーとリアカメラが変わった
タイヤはブリヂストン製のECOPIA M801Ⅱ。新燃費基準ではタイヤの転がり抵抗は直接的に審査値に影響する。なお、サスペンションは後軸エアサス+前軸リーフの組み合わせ。総輪エアサスも設定されている
標準床系と共通化された排出ガス後処理装置。排気管の入口が内側から前側になるため、現行車より400mm車両後方に移動させて搭載される。これに伴い前輪との間にサイドガードを追加
長くなったフロントパイプは後処理装置に必要な排ガス温度を保つべく断熱性能向上が図られた
アルミ製になった車体左側の燃料タンク。注入キャップは法規対応の密閉式だ。試乗車は200+300Lだったが、標準仕様は200L
リアバンパー(後部車両突入防止装置)は性能強化のための法規改正に対応して強度と取り付け位置を見直した。ステーの造りはいかにも頑丈そう
運転席周りは現行車とほとんど変わらない。法規対応で夜間走行中のヘッドライト消灯ができなくなったのは個人的には大いに不満。トラフィックアイクルーズの全車速域対応化に伴い、作動中に先行車にあわせて停車すると中央の液晶モニター下部に停車中を示す表示が点灯する
ESCOT-VIの変速制御にECO+モードが追加されたことに伴い、ステアリングスイッチはECO、OFFとの3段階切り替え式に改められた
選択したモードはインパネ中央部のモニター上縁部に表示される
試乗車にはオプションの高機能シートが装備されていた。ショルダーベルトの格納や多彩な調整機能もさることながら(今回の試乗ではないが)長時間走っても腰が疲れにくいのが印象的。ブランドは謳っていないがドイツ・イスリングハウゼン社製で、日本人向けのアレンジが施されている
2022年モデルからUDアクティブステアリング搭載車はステアリングギアボックスと操舵軸をつなぐドラッグリンクがピットマンアーム側取り付け位置の違いに合わせた専用部品となり、最小回転半径がわずかに小さくなった
リアカメラは改正保安基準に対応してクラリオン製の160度の広角カメラを採用。モニターは7インチと変わらないが有効画素数、画質とも大幅に向上した
搭載が(追加)発表された側方衝突警報装置の検知部。写真はCG系ではないが、同様の場所に装着される。検知範囲が左側方0.9~4.25mの幅で前方7mから後方30mと広範なため大きく張り出している
常磐自動車道を並走するクオン2022年モデル(向かって左)と現行モデル。外観はほぼ変わらないが内容は大きく進化している