そうだったのか!! トラックがディーゼルエンジンを採用する理由を徹底解説!!

 トラックのエンジンは、ほとんどがディーゼルである。乗用車で主流のガソリンエンジンを搭載する車種や、LPガス、天然ガスを燃料とするエンジンを搭載する車種もあるが、絶対的な主流はあくまでもディーゼルだ。

 一体、なぜトラックのエンジンはディーゼルなのか? そこにはヒジョーに奥深い理由があったのだった。トラックに造詣の深い多賀まりお氏が徹底解説する!!

文/多賀まりお 写真/各メーカー、トラックマガジン「フルロード」編集部

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トラックのほとんどが採用するディーゼルエンジン

大型トラックはほとんどがディーゼルエンジンを搭載

 自動車の中でも、働くトラックは生産財。そのエンジンには、動力性能とともに、低廉な生涯コスト(購入費用と維持費の総合計)をもたらす燃費の良さや、信頼耐久性が求められる。

 トラックのエンジンは、とりわけ車体が大きい(慣性重量が重い)分野ではディーゼル機関がほとんど。ディーゼルはガソリンエンジンと比べて大排気量に対応可能で、高回転は不得手だが、低回転から大きなトルクを発生。

 また、燃費に優れるとともに、燃料の軽油はとりわけ日本では政策や税制の違いもあって、ガソリンよりも安く販売されている。こうした特長の多くは、ディーゼルの燃焼方式に由来するものだ。

火花点火式のガソリンエンジン

 ガソリン/ディーゼルを問わず、自動車用の大勢を占める4ストロークエンジンは、シリンダー内でピストンが2回上下(クランクシャフトが2回展)する間に吸入〜圧縮〜燃焼(爆発)〜排気の4行程を1サイクルとして行い、これを連続して出力を発生する。

 乗用車に多く使われるガソリンエンジンは、空気と揮発性の高い燃料をあらかじめ混合させてシリンダー内に吸入〜圧縮したのち、スパークプラグの電気火花で添加する。直噴式のガソリン機関は空気のみを吸入したあと、筒内に直接燃料を噴射するが、シリンダー内で咬合器を形成してから点火するのは同じだ。

 沸点の低いガソリンは「引火点(液体が揮発し、点火源を近づけた時に燃焼が始める最低温度のこと)」もマイナス43度以下と低く、「火花点火式」のエンジンに向く燃料だ。

圧縮着火式のディーゼルエンジン

 いっぽう、ディーゼルエンジンが使う経由は引火点が45〜50度以上と高く、常温で点火源を近づけても火が付きにくい(ガソリンより揮発性が低いため、均一な予混合状態は得にくく、火花点火式には向かない)。

 だが、点火源がなくても自ら発火する「発火点」は250度で、ガソリンの300度よりも低い。ディーゼルはこの特徴を活かした「圧縮着火式」エンジンである。吸入行程では空気のみを取り入れ、ピストンの圧縮によって高温になった吸入気に燃料を噴射して自然発火(自己着火)させる。このためスパークプラグは要らない。

 燃焼の形態は、噴射される燃料のうち、着火する以前に噴射された部分があらかじめ空気と混ざった状態で燃える「予混合」の部分が燃焼初期にあるが、着火が始まると燃料と空気(酸素)が拡散〜混合しながら燃え進む「拡散燃焼」となる。

ガスエンジンの特徴

 なお、ガソリンと同じ石油由来のLPガスや、石油と同じ炭化水素化合物で炭素が1価のメタン(CH4)を主成分とする天然ガスはガソリンに近い特徴を持ち、専用の燃料供給装置を伴ってガソリンエンジンと同じ火花点火エンジンの燃料に使用できる。

 ガス燃料は液体のガソリンと違って蒸発する際の冷却効果(気化潜熱)を持たない。また、燃料や燃焼生成物による潤滑作用もないことから、ガスエンジンはバルブシート(吸排気弁が閉じた状態でシリンダーヘッドと接触する部分)の摩耗が早く進むことが指摘されている。

 現在トラックに使われている天然ガスエンジンの多くはディーゼルエンジンを改造したものだが、天然ガスはディーゼルよりも燃焼温度域が高く、排気ポート〜ターボチャージャーのタービン側など高い熱負荷が掛かる部分を守るために出力を制限する場合がある。

 いっぽう、ここにきてボルボのG13型のように、ディーゼルエンジンの躯体を使い、圧縮点火させた少量の軽油を呼び火として天然ガスに着火させるユニットも実用化されている。

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