拡大する6TWシリーズの展開

「6TW12型」は、1960年6月にリリースされた改良モデルだ。最大のポイントは、カーゴ向けシャシーの積載量を11トンへ引き上げたことで、20尺の荷台長はそのままにホイールベースを5300mmから5100mmへと短縮。また、外部企業に生産委託しているキャブも新形状に移行しており、サイドドアには三角窓が新設された。
車型バリエーションは、このカーゴ向け5100mmシャシー(6TW12)とダンプ向け4300mmシャシー(6TW12S)に加え、新たにホイールベース3800mmのセミトラクタ車型「6TW12T」(第5輪荷重10トン)を設定した。重量物トレーラ輸送分野における日産ディーゼル(同年12月に社名変更)の礎といえるだろう。
歴史遺産車は、6TW12型の最終モデルとなる1968年式で、UD6型の回転数を高めたUD63型エンジン(最高出力240PS/2200rpm・最大トルク92kgm/1300rpm)とパワーステアリングを搭載しており、パワステのユニットを収めるためにフロントグリル下部の形状を変更しているのが特徴である。
トラクタ車型の6TW12Tでは、ドライブトレーンもLo1段の低速走行専用トランスファを標準とし、オプションはODなし4段MTとHi-Lo2段またはLo1段の組み合わせに改め、第5輪荷重を12トンに引き上げた。より重いトレーラの牽引を可能とするための変更で、重量物運搬指向をより強めたといえる。
さらにこの6TW12Tをベースに、3軸6×6の総輪駆動モデル「6TWF12T型」も派生している。6TWF12T型は、6TW12Tの前軸もドライブアクスルとしたクルマではあるが、ボンネット形状が角ばったスタイルになり、フロントグリルも四角形で『剣道のお面』ではないなど、外観の印象が一変している。ドライブトレーンはOD付5段MTとLo1段トランスファの組み合わせが標準で、Hi-Lo2段トランスファをオプションとする。第5輪荷重は11.5トンである。

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