クルマを助けるクルマにはなにが搭載されている? レッカー車の知られざるメカニズム

さまざまなウインチブーム(レッカーブーム)

旋回式ウインチブームの使用例。このウインチブームは4基のウインチを備えているが、写真では2基を使い、なおかつ2本のウインチワイヤーとスリングベルトを用いることで、安定した状態で不動車を移動させている様子である
旋回式ウインチブームの使用例。このウインチブームは4基のウインチを備えているが、写真では2基を使い、なおかつ2本のウインチワイヤーとスリングベルトを用いることで、安定した状態で不動車を移動させている様子である

 ウインチブームには、クレーンとよく似たテレスコピック式伸縮ブーム付きもあるが、クレーンが吊り上げ装置であるのに対して、ウインチブームは引き上げる装置であり、設計はまったく違う。ウインチを複数搭載するものも珍しくなく、決まった形がない事故復旧作業に柔軟に取り組めるようになっているのが特徴だ。

 ウインチブームの形態には、「独立型」と「一体型」がある。独立型は、ウインチブームのみ単体の装置で、ブームが後方へ向いたままの固定式がほとんどだが、旋回式もある。一体型は、ウインチブームがアンダーリフトの支持構造と起伏動作を兼ねた構造で、牽引走行時の安定性がより高く、油圧系もシンプルになる。

 実は日本では、アンダーリフトとウインチブームの組み合わせではなく、アンダーリフトとクレーンを組み合わせたレッカー車もポピュラーだ。直伸式クレーンのモノを吊り上げる機能ももちろん有用で、レッカー会社の中にはそれを巧みに応用する技術をもった企業もある。それとは逆に、クルマの搬送を主体とする業者が好むスタイルでもある。

一体型ウインチブームの例。テレスコピック3段伸縮式ブームの途中(1段目の先端にあたる)から下方に設置されているのがアンダーリフト。ブームを起伏させている2本シリンダを、アンダーリフトも共有する仕組みである
一体型ウインチブームの例。テレスコピック3段伸縮式ブームの途中(1段目の先端にあたる)から下方に設置されているのがアンダーリフト。ブームを起伏させている2本シリンダを、アンダーリフトも共有する仕組みである

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