クルマを助けるクルマにはなにが搭載されている? レッカー車の知られざるメカニズム

クルマを助けるクルマにはなにが搭載されている? レッカー車の知られざるメカニズム

 『レッカー』といえば「トラックが後ろでクルマを吊り上げて運んでいる」という絵面を、なんとなく思い浮かべるはず。それではレッカー車とはどのようなメカニズムを備え、どのような作業が行なえる「働くクルマ」なのだろうか?【働くクルマの大図鑑・レッカー車篇/その1】

文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/フルロード編集部、Miller Industries

※本記事はトラックマガジン・フルロードVOL.57の掲載記事を加筆・再編集したものです。

レッカー車にはどんなメカが搭載されている?

大型レッカー車のレッカー装置。後方へ伸びているのがアンダーリフト、右に向かって仰角が付いているのがウインチブーム(旋回式で右方へ回している)。<br>※今回掲載する写真はすべて米国で撮影されたものです
大型レッカー車のレッカー装置。後方へ伸びているのがアンダーリフト、右に向かって仰角が付いているのがウインチブーム(旋回式で右方へ回している)。
※今回掲載する写真はすべて米国で撮影されたものです

 レッカー車とは、事故車・故障車を移送するための牽引装置を装備した特種用途車(8ナンバー車)だ。JAFやロードサービスに携わる民間レッカー会社、整備業、鈑金業のほか、高速道路会社、警察、消防で使用例がある。

 現在、大半のレッカー車が装備しているのが「アンダーリフト」と呼ばれる油圧式牽引装置だ。アンダーリフトは前後に伸縮し、その先端はT字型の形状になっている。このT字型の部分を被移送車の下へ差し込み、車輪、アクスル、シャシーフレームなどの部位を持ち上げて運ぶ、という仕組みである。油圧式が普及する前の機械式レッカー車も、見た目こそまるで違うが、同じ部位を持ち上げて運ぶ原理は共通である。

 もうひとつ、レッカー車の重要な装備がウインチで、脱輪・路外逸脱・横転・転覆などの事故復旧で不可欠である。この作業をより効率的・効果的に行なうための装置が「ウインチブーム(レッカーブームともいわれる)」で、これを搭載するレッカー車も多い。

レッカー車の後端に装備するアンダーリフト。牽引したいクルマの下部(フロントまたはリア)を持ち上げて、かつレッカー車が引っ張って走るために設計された牽引装置である
レッカー車の後端に装備するアンダーリフト。牽引したいクルマの下部(フロントまたはリア)を持ち上げて、かつレッカー車が引っ張って走るために設計された牽引装置である
持ち上げる部位は、車輪、リジッド式サスペンションのアクスル(写真)、シャシーフレームなど。アンダーリフトの先端部分には、持ち上げる場所に適したアタッチメントを装着する。牽引走行時は伸ばしたブームを縮める
持ち上げる部位は、車輪、リジッド式サスペンションのアクスル(写真)、シャシーフレームなど。アンダーリフトの先端部分には、持ち上げる場所に適したアタッチメントを装着する。牽引走行時は伸ばしたブームを縮める

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