厚生労働省が行なった2023年の「国民健康・栄養調査」の結果、習慣的に喫煙している人の割合は15.7%で、男性25.6%、女性6.9%でした。2012年のデータでは喫煙率は20.7%なので、この10年でタバコを習慣的に吸う人が大きく減ったことがわかります。
さて、トラックドライバーさんの喫煙率はというと……、約48%! おせっかいなことを言うようですが、健康のためだけではなく、交通安全のために、運転中だけでもタバコを控えてみてはいかがですか。
文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部、資料/全日本トラック協会、トップ写真/写真AC
たばこが原因で多重事故!? 全ト協が「運転中禁煙」を呼びかけ
厚生労働省の調査によると、2023年の喫煙者の割合は15.7%だった。同じ2023年に全日本トラック協会(全ト協)がトラックドライバーを対象に実施したアンケート調査では、ドライバーの喫煙率は48.6%だった。
また、健康保険(協会けんぽ/健康保険組合)の直近のデータでも、道路貨物運送業/運輸業の喫煙者の割合は他の業態と比べて高くなっている。
ひとたび車庫を出ればキャビンの中では自由というトラックドライバーの働き方に魅力を感じている人は多いし、自身の健康のための禁煙は誰かに強制されるものではない。ただ、職業ドライバーとして目を背けてはならないのが、たばこによる脇見運転だ。
運転中のたばこを原因とする重大事故は、現実に発生している。
事故なく、安全に荷物を運ぶことはトラックドライバーの本分だ。全ト協が啓発チラシを作成して「運転中だけたばこをお休みしませんか?」と呼び掛けている。
チラシによると「脇見運転」は「安全不確認」に次ぐ死傷事故原因の第2位で、全体の17%を占める。近年でもトラックドライバーがたばこを取るために脇見運転を行ない、多重事故が発生したケースが実際にあるという。
3秒間の脇見をした場合、時速40kmで走行しているクルマは約33メートル進む。全長12メートルの大型トラック3台分の距離だ。時速100kmで走行している場合、3秒で83メートル、5秒で140メートルもクルマは進むことになる。
荷物を満載したトラックの制動距離を考えると、トラックの脇見運転は乗用車よりはるかに危険な行為と言えるだろう。
たばこを取る、火をつけるなど数秒間の行為であっても脇見運転のリスクは大きく、イギリス、イタリア、台湾などでは運転中の喫煙が禁止されているそうだ。
眠気の防止やストレス解消のため禁煙が難しいトラックドライバーも、安全運転のため、運転中だけでもたばこをやめてみたらどうだろうか?
【画像ギャラリー】「運転中禁煙」などを呼び掛ける全ト協の啓発チラシ(3枚)画像ギャラリー
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