生命線となる道路が断たれたらどうする!? 相次ぐ車両火災や自然災害への対策とは?

幾度も孤立の危機・山梨県

2019年の台風19号の影響で災害通行止めとなった中央道上り・大月IC。要路が分断された影響は甚大であった
2019年の台風19号の影響で災害通行止めとなった中央道上り・大月IC。要路が分断された影響は甚大であった

 山梨県は盆地で周囲を山地に囲まれているため、県内への物流ルートが限られている。これまで幾度も長期通行止めの危機が発生している。

 2019年10月の東日本台風(19号)で、中央道、国道20号、JR中央本線のすべてが不通となり、東京~山梨間の行き来が遮断された。人的な移動もできなくなったため、通行止めの翌13日から東富士五湖道路~東名を経由した臨時高速バスが運行された。

 2016年2月の豪雪では、2月14~17日の3日間、山梨県中心部への道路交通や鉄道がすべてストップした。

 ヤマザキパンのトラックドライバーが積荷のパンを談合坂SAで立ち往生中の一般ドライバーに配ったことでも記憶に残る。

 スーパー、コンビニでは商品が品薄になったほか、停電や大雪で営業できず。セブン&アイはヘリコプター2機で東京から商品の空輸を行なった。

 災害時には県内の食品倉庫から、普段とは別ルートで商品を調達するということも考えておかなければならないのかもしれない。

駿河湾地震による東名通行止め

 2009年、お盆前の8月11日早朝に駿河湾地震が発生し、静岡市の駿府城の石垣が崩れるなど、各所で被害が出た。

 東名でも上り線の牧之原PAから吉田側で路肩が崩落、全面通行止めとなった。その後、下り線でも地盤の緩みが見つかり、工期は延びた。

 当時、新東名はまだ開通しておらず、お盆の時期の交通はパニックとなった。ネクスコ中日本の突貫工事の結果、崩落部分に盛り土をして、8月16日の午前0時から通行可能となった。

JR貨物、トラックで代行輸送

 JR貨物は幾度も災害による線路の寸断に遭い、その都度、コンテナをトラックに積み替えてピストン輸送する「代行輸送」を行ってきた。

 2018年の西日本豪雨では西日本の鉄道が至る所で寸断された。山陽本線も難所の「セノハチ」(瀬野—八本松間)ほかで土砂災害が発生、約3カ月運休した。

 九州—広島・岡山間でトラックと船舶による代行輸送を行なったが、その輸送力は鉄道の約14%にとどまった。トレーラでも輸送も行えるように、国土交通省は特殊車両通行許可申請を迅速化する特例措置を行なった。

 翌2019年の「東日本台風(19号)」(長野市の北陸新幹線車両基地が水没した)では、4路線5区間が不通となった。東北本線・新白河―岩沼間でトラック代行輸送が行なわれた。

 2020年の熊本豪雨では鹿児島本線・肥薩おれんじ鉄道が被災、代行輸送が行なわれた。
ただし、代行輸送には多くのドライバーと積み替えの労力を必要とする。代行輸送に使用できる車両が限られるなどの問題点もある。

タンクローリーのエスコート走行

 2020年の熊本豪雨(球磨川水害)で球磨川沿いの国道219号が寸断され、人吉市への一般道ルートが絶たれた。人吉市への石油輸送を確保すべく、タンクローリーのエスコート通行が行なわれた。

 九州道の八代IC~人吉IC間には肥後トンネル(全長6340m)があるが、道路法で長大トンネル(全長5000m以上)と水底トンネルは危険物積載車両の通行が原則禁止されている。

 2016年に、代替路が少ない長大トンネル等について緊急時に規制を緩和する改正がなされ、このとき初めて実施された。通行の安全性をより確かなものにするために前後を警察車両や石油会社の車両が伴走(エスコート)した。

近年、地域の生命線となる道路が寸断されるような事故や災害が相次いで発生している
近年、地域の生命線となる道路が寸断されるような事故や災害が相次いで発生している

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