電動商用車にも409億円の手厚い補助金あります! でも補助金頼みは本当に正しい道筋なのか?

電動商用車にも409億円の手厚い補助金あります! でも補助金頼みは本当に正しい道筋なのか?

 経産省が主導する「クリーンエネルギー自動車(CEV)導入促進補助金」では、日産やトヨタのEVが補助上限額の85万円の対象となるいっぽう、中国BYDやポルシェ、シトロエンなどの補助額が引き下げられたことが話題になっているが、当然のことながら電動商用車にも補助金がある。

 この補助金の額が乗用車とはケタ違いに大きく、ちょっと驚きなのだが、それは後述するとしよう。

 すでに3月8日から公募が開始されているので、まずはその概要をお伝えする。

文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部、図/環境省・国土交通省

今回から充電設備も補助対象に 

商用EVの充電設備についても補助対象となるが、設置場所などの制約も設けられている
商用EVの充電設備についても補助対象となるが、設置場所などの制約も設けられている

 一般財団法人環境優良車普及機構では、環境省、国土交通省、経済産業省が連携のもと、令和5年度から運送事業者等の使用する自動車についての電動化を推進するため、電動車を導入する際に購入資金の一部を支援する「商用車の電動化促進事業」を行なっている。ちなみにここでいう電動車とは、BEV(電気自動車)、PHEV(プラグインハイブリッド車)、FCV (燃料電池車)のことだ。

 令和5年度の補正予算では、これまでの電動車に加えて、充電設備についても補助対象となった。ただ、充電設備については、この補助事業の車両導入と一体的に申請されたもので、事業者の敷地(事業所、営業拠点)等に設置する充電設備に限定される。

 公募開始は令和6年3月8日(金)で、公募締切は令和7年1月31日(金)である。

 補助対象事業者は、以下の要件のいずれかに該当する者で、事業規模の制限はない。
1. 貨物自動車運送事業者
2. 自家用商用車(トラック等)を業務に使用する者(車両総重量2.5t超の車両に限る)
3. 商用車(トラック等)の貸渡しを業とする者(1、2、4に貸渡しする者に限る)
4. 地方公共団体
5. その他環境大臣の承認を得て、執行団体が適当と認める者

BEVトラックの補助率は差額の2/3

 商用車の電動化促進事業に認められた令和5年度の補正予算額は409億円。ちなみに令和5年度の当初予算額は約126億円(令和5年6月27日~令和6年1月31日)だった。

 の事業の「電動車」の中にはトラックのほかに、タクシーやバスが含まれているが、トラックの場合の予算額は310億円で、これは車両と充電設備の総額である。

 肝心の補助率だが、ディーゼル車等の従来車両に対し、BEVがその差額の2/3、PHEVが差額の1/2、FCVが差額の3/4となっている。なお3月8日現在、事前登録された対象車両はほとんどBEVで、FCVはトヨタの1車種のみである。

 またトラックの対象車は、車両総重量2.5t超の車両は事業用、自家用とも補助対象だが、車両総重量2.5t以下の車両は事業用のみ補助対象となっている(自家用の2.5t以下は経産省のCEV補助金で導入支援)。なおトラックにはバンタイプなども含まれている。

「商用車の電動化促進事業」のイメージ
「商用車の電動化促進事業」のイメージ

 令和5年度補正予算で事前登録された車両は10社27車種で、その内訳は、

【フォロフライ】 4車種 基準額89万5000円~182万1000円
【ASF】 1車種 基準額116万円
【HWエレクトロ】 3車種 基準額104万円~127万6000円
【アパテックモーターズ】 2車種 基準額54万円~146万8000円
【諾亜建設】 1車種 基準額280万円(自家用)、291万2000円(事業用)
【三菱自動車】 4車種 基準額78万4000円~97万2000円
【日野自動車】 2車種 基準額505万3000円~516万5000円
【三菱ふそう】 4車種 基準額501万9000円~832万9000円
【いすゞ】 5車種 基準額389万7000円~760万円
【トヨタ自動車】 1車種 基準額2485万5000円(自家用)、2496万7000円(事業用)

 自動車メーカ―の車種名は、三菱自動車がミニキャブMiEV/ミニキャブEV、日野がデュトロZEV、三菱ふそうがeキャンター、いすゞがエルフmioEV/エルフEV、トヨタがFC小型トラックとなっている。

補助対象車両の基準額=補助金交付申請額というわけではない
補助対象車両の基準額=補助金交付申請額というわけではない

 なお、ここでいう「基準額」とは、他の地方自治体などの補助金を伴わない申請だと基準額=補助金になるが、他の補助金を伴う場合は、車両代(値引き含む、諸経費、消費税は除く)からその補助金額を引いて残った額(購入者が負担する額)と基準額を比較して、基準額の方が低ければそれが補助金額になる。

 逆に購入者が負担する額の方が低い場合はその金額までしか補助金は交付しない。つまり、この事業の補助金で利益が出ないようにしているわけである。

次ページは : 大盤振る舞いが続く電動車両の補助金を考える

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