草刈りアタッチメントの装着テストも
水素燃料は、重量換算12.4kgの圧縮水素ガス(気体)で、4本の圧力タンクに70メガパスカル(約700気圧)の圧力で貯蔵する。これをキャブ後方へ搭載するため、荷台の長さをいくらか短縮しており、積載性という機能についてはやや損なわれた。この12.4kgという量は、1日あたりの作業を含めた運行(8~10時間)にちょうど必要な量とされる。
見学時は撮影ができなかったものの、水素エンジンを実際に始動してもらうことができた。オットーサイクルらしくアイドリング音はディーゼル車よりはるかに静かかつマイルドで、クルマのそばにいても排ガスの臭気はまったく感じない。
見学のひと月前の8月には、ダイムラーの大型トラック生産拠点があるヴェルト・アム・ラインの公道で、初めて草刈り作業のテストが行なわれたという。このような低速作業をより静かに行なえるのは、周辺環境にもよいことだろう。
なお、この草刈り作業テストでは、通常のウニモグでも使われているアタッチメントの一つ、ゲルハルト・デュッカー社製の草刈り装置・MK25型を車両前方にマウントし、WaVeデモンストレーターの油圧システムから油圧を供給して作動させている。
WaVeプロジェクトは、2024年内に終了を予定している。その後の水素エンジンの開発計画については不明だが、ユーザー層が限られる少量生産のウニモグ、特に公共ユーザーであれば、一般的には流通していない水素燃料を使うことも可能とみられ、限定的な供給を目指すかもしれない。
また、欧州ではBEVやFCEVとともに、カーボンニュートラル燃料を用いたエンジン車の生産・販売を容認する方針が伝えられている。であれば、もともとエンジン技術で世界をリードしていたダイムラーが、大型トラック・バス用の水素エンジン開発に進むことも考えられる。今後が注目されるところだ。
【画像ギャラリー】ウニモグWaVeデモンストレーターと様々な用途で使われる多目的作業用ウニモグ・405シリーズ(20枚)画像ギャラリー
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