既存車から見えてくるプラットフォームの拡張性
FCEVは、同じ電動車でも異質な面がある。日野がトヨタと共同開発している大型FCEVトラック「プロフィアZ FCVプロトタイプ」は、燃料電池の電力をバッテリーに蓄えるよりも、ダイレクトに走行用モーターへ供給する運用が中心だとされている。これはエネルギー密度が高い水素燃料ならではで、バッテリー電力を中心とするシリーズ式PHEVやRE-BEVとは、大いに性格が違うものである。
ただ、燃料電池をRE機構とするものもある。ダイムラーの大型BEV路線バス「メルセデスベンツ・eシターロ・レンジエクステンダー」は、トヨタ製FCシステムをRE機構として用いており、メインはバッテリー電力だ。
ここで例に挙げた2つのクルマは、同一の電動パワートレーンではないものの、同じFCシステムを使いながら、用途(長距離幹線輸送or都市内大量人員輸送)や車両のパッケージング(大型トラックor大型路線バス)によって、燃料電池をメインの電力とするか否かが表れている実例である(付け加えれば、eシターロにはRE-BEVとは別に、FCEVバージョンが存在する)。
このように、特に燃料電池からの視点だと、日野のRE-BEVプラットフォームが、トラック・バス用電動パワートレーンに求められる多様なニーズに対して、周到に準備されつつあるもの……ということも、うかがえるのである。
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