世界進出する中国FOTONの小型EVトラック! 「欧馬可・智藍」は国産EVのライバルになりうるか? 【国産小型EVトラックの競合車】

世界進出する中国FOTONの小型EVトラック! 「欧馬可・智藍」は国産EVのライバルになりうるか? 【国産小型EVトラックの競合車】

 日本のEVトラック「eキャンター」や「エルフEV」は、キャブオーバー小型トラックのバッテリーEVとして、世界的にもユニークなクルマであり、とりわけ新型は先進的でもある。しかし、このジャンルでも中国車の進出が著しく、「FOTON」のブランドで知られる北汽福田汽車は、世界各地で小型EVトラックを展開しつつある。

文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/北汽福田汽車

中国の小型トラックトップメーカー

北汽福田汽車の小型EVトラック「欧馬可・智藍」。オゥマーク・インテリジェント・ブルー、略して「オゥマークiブルー」と呼ぶようだ
北汽福田汽車の小型EVトラック「欧馬可・智藍」。オゥマーク・インテリジェント・ブルー、略して「オゥマークiブルー」と呼ぶようだ

 北汽福田汽車(福田汽車、FOTON)は、1996年設立という比較的新しい商用車メーカーだが、その名が示す通り中国の古参自動車メーカー・北京汽車グループの一員である。同国の小型トラック市場では現在、シェア1位の座に君臨するトップメーカーだ。

 福田汽車は2018年、「智藍(iブルー)新能源戦略」というプロジェクトを発表し、商用車の電動化・自動化・安全性向上を進める方針を打ち出した。それと同時にいくつかの電動商用車も発表されたが、その一つが小型トラック「欧馬可(オゥマーク)」のバッテリーEVモデル「欧馬可・智藍(オゥマークiブルー)」である。

 そのオゥマークiブルーは、中国はもちろん、チリ(2021年)、タイ(同)、ドイツ(2022年)、メキシコ(同)、フィリピン(2023年)、オーストラリア(同)、アルゼンチン(同)、コロンビア(同)へ進出、さらにイタリアでの販売や、ポーランドでの現地組立も予定している。

中国内ではバッテリー容量が選択可能

オゥマークiブルーの電動パワートレイン。キャブチルトした裸シャシーを左後方から前方に向かってみたアングルで、シャシーフレーム側面のLFPリチウムイオン電池パック、キャブ下のインバータ、シャシー中央のセントラルドライブ式モーターがみえる
オゥマークiブルーの電動パワートレイン。キャブチルトした裸シャシーを左後方から前方に向かってみたアングルで、シャシーフレーム側面のLFPリチウムイオン電池パック、キャブ下のインバータ、シャシー中央のセントラルドライブ式モーターがみえる

 中国仕様のオゥマークiブルーは、車両総重量(GVW)4.5トン・ホイールベース3.36mのキャブ幅1.88m車のみだが、高電圧バッテリー容量が81.14kWh、100.27kWh、104.7kWhと3種もあり、バッテリーパックをシャシーフレームの左右に搭載する。いずれもリン酸鉄(LFP)リチウムイオン電池で、前2者が寧徳時代(CATL)製、最後者が力神製を、それぞれ搭載する。

 セントラルドライブ式の永久磁石式同期モーターには、2つの特性を用意しており、連続出力64kW/最高出力115kW・連続トルク142Nm/最大トルク300Nmのいわばパワー指向型(注:中国でそのように区別しているわけではない)と、連続出力60kW/最高出力100kW・連続トルク450Nm/最大トルク1000Nmのトルク指向型(同)がある。
 
 国家規格の時速40km定地走行モードによる航続距離は、容量81.14kWhが300km、容量100.27kWhと104.7kWhが400km。中国GB/T方式による急速充電時間(充電率20→100%)は1時間となっている。

 GVW4.5トン級EVトラックとしてみると、モーター動力性能は標準的だが、バッテリー容量が大きめで、航続性能を重視しているようにみえる。なお、中国ではバン型車・平ボディ車・倉柵車(アオリに柵とホロ骨を設けた車体)の完成車として供給される。

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