オーストラリアで日本車と競合か!? 韓国の小型EVトラック「マイティ・エレクトリック」とは? 【国産小型EVトラックの競合車】

オーストラリアで日本車と競合か!? 韓国の小型EVトラック「マイティ・エレクトリック」とは? 【国産小型EVトラックの競合車】

 日本の小型EVトラック「eキャンター」や「エルフEV」は、世界的にみても先進的なEV商用車だが、競合相手がいないわけではない。その一つが、韓国最大手メーカー・ヒョンデ・モータースが今年2月にオーストラリアとニュージーランドで発表した「マイティ・エレクトリック」だ。

文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/ヒョンデ・モータース、キア・モータース、現代商用車

豪・NZでのみ販売される韓国のEVトラック

ヒョンデの小型EVトラック「マイティ・エレクトリック」
ヒョンデの小型EVトラック「マイティ・エレクトリック」

 ヒョンデが最新のEV乗用車およびFC乗用車(燃料電池車)で、日本の新車市場へ再参入したことは記憶に新しいが、欧米では乗用車に加えて、大型FCトラックの市販も積極的に進めており、電動車の世界進出で熱心なメーカーの一つである。

 ヒョンデには、日本の「エルフ」「デュトロ」「キャンター」に相当する小型トラックとして、積載量2.5トン~10.3トンクラスの「マイティ」というモデルがある。もともと三菱自工の技術供与によって生産していたキャンター韓国仕様の後裔だが、現在のマイティは、ヒョンデが開発したオリジナルの小型トラックとなっている。
 
 そのマイティのEVモデル「マイティ・エレクトリック」が2023年2月、オーストラリアとニュージーランドで発表された。発売は2023年第2四半期からなので、もう間もなくだろう。

ヒョンデEVとしては異色の存在

マイティ・エレクトリックのキャブ内。メーターパネルには7インチカラーLCDを組み込む。シフトセレクタはR・N・Dの3ポジション・ダイヤル式。センターパネルにも7インチカラーLCDタッチパネルを装着する
マイティ・エレクトリックのキャブ内。メーターパネルには7インチカラーLCDを組み込む。シフトセレクタはR・N・Dの3ポジション・ダイヤル式。センターパネルにも7インチカラーLCDタッチパネルを装着する

 マイティ・エレクトリック(以下マイティEV)は、2015年に登場した新開発の2.08m幅キャブをもつ現行型マイティをベースにEV化したものだが、現時点では本国ではなく、オーストラリアとニュージーランドで右ハンドル車のみリリースするという点が、少し変わっている。

 駆動用のセントラルドライブ式モーターは最高出力120kW・最大トルク320Nm、高電圧バッテリーは容量114.5kWhとなっており、2面図や写真から、シャシーフレームの左右にバッテリーパックを搭載していることがわかる。

 この高電圧バッテリーには、中国・寧徳時代(CATL)製のリン酸鉄(LFP)リチウム電池を採用している。ヒョンデEVの高電圧バッテリーは、もっぱらSKイノベーションやLGエナジーなどの韓国製といわれており、マイティEVは、やはりちょっと変わった存在にみえる。

 量産前モデルのカタログには、車両総重量7.3トンのホイールベース3.3m車のみの諸元が記載されており、航続距離は積載時200kmとしている。補助ブレーキとして2段の回生ブレーキも装備する。充電時間は、直流800V・出力100kWの急速充電を用いれば、71分で満充電(充電率8%→100%)となる。いずれも、現在の小型EVトラックとしては優秀な性能だ。

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