なぜアメリカのトラックはボンネットキャブなのか
ブリッジフォーミュラによってトラクタ側も一定のホイールベース長が求められると、BBC(Bumper to back of cab=キャブ前後長)の短いキャブオーバー型キャブの必然性は薄れる。
1982年の不況期に米国政府は陸上交通補助法を改定。これに伴って重量/寸法の規制緩和が行なわれ、もっとも一般的なトラクタ+セミトレーラ、あるいはセミトラクタ+セミトレーラ+トレーラの組み合わせについては連結全長を制限しないことになった。
こうして連結全長規制への効果的な対応策だったキャブオーバー車は徐々に少数派となり、2005年にフレイトライナーの「アーガシー」が米国で販売を終了したのを最後にロングホールセグメントから姿を消した。
現在はBBC120インチ(約3m)〜130インチ(約3.3m)のボンネット型キャブに前後長70インチ(約1.77m)級のスリーパーを組み合わせたトラクタが長距離輸送では標準的となっている。
アメリカで人気のトラックメーカーは?
米国における2019年のクラス8(GVW33001ポンド=約15t超)の大型トラックの販売台数は27万6000台あまり。主要なトラックの銘柄は6社の7ブランドで、もっともシェアが高いのはダイムラー・トラックス・ノース・アメリカ(DTNA)のフレイトライナーで約36%と断トツ。
パッカーの子会社であるピータービルトとケンワースがともに約15%で2、3位を占め、僅差でナヴィスターのインターナショナル、ちょっと離れて約10%シェアのボルボ・トラックス・ノース・アメリカ、ボルボ傘下のマック、そしてカスタムトラックを得意とするDTNAのウェスタンスターと続く。
欧州と同様に大手グローバルトラックグループが顔を揃えるいっぽうで、乗用車大手のGMやフォードは80年代までに大型車市場から撤退。ダイムラーやボルボはそうしたトラックメーカーの離合集散を機に本格参入の足がかりを得た経緯を持つ。
トラックのスタイルでは、ケンワースのW900あるいはウェスタンスターなどに象徴されるクラシックなロングノーズタイプの人気も根強いが、すでに大勢は空力性能と居住性に優れた新世代モデルに移っている。
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