糖尿病予備軍が再ブレイクさせた「キクイモ」の話
昔ちょっと人気が出たけれど、すぐに忘れ去られた「一発屋」が、ひょんなことから再ブレイクするなんてことが時々ある。今の芸人でいえば、有吉弘行あたりだろうか、毒舌の芸風がヒットして、今では「猿岩石」の頃よりもずっと売れているくらいだ。
キクイモも、そのクチである。キク科ヒマワリ属の多年草で、2~3mの高さがある。「ああ、この花なら道端の空き地なんかでよく見かけるよ」というトラックドライバーも多いと思う。北アメリカ原産で、日本には江戸時代末期に飼料用植物として伝来し、第二次世界大戦中や戦後は救荒作物として注目された。当時は大いに栽培されたようだが、すぐに忘れ去られてしまった。しかし、繁殖力が旺盛で乾燥などに強いため、今では野生化した「キクイモ」が全国各地の荒れ地などでよく見られるようになったのだ。「キクイモ」すなわち「菊芋」と書くからには、菊に似た花をつけ、地下に「芋」状の根茎をつける植物である。
その「キクイモ」の再ブレイクの火付け役は、またしても健康ブームだ。「キクイモは天然のインシュリン」というキャッチフレーズでも分かる通り、その根茎には血糖値を下げる効能があるとされ、日本人の5人に1人といわれる「糖尿病予備軍」から熱い視線を送られているのである。「サーフサイド6」のブログでお馴染みのジョニー上木さんも血糖値がやや高いそうなので、是非「キクイモ」にご注目を……。そのほか、「ダイエットにいい」とか「アトピーが治った」をはじめ、いろいろ「健康にいい!」という話がゴロゴロ出てくるのだが、栄養価が高いことは確かのようで、それもあってヨーロッパで大ブームとなり、それが日本に伝播したようだ。
そのため、今では日本でも「キクイモ」を加工したジュースやサプリメントなどが多数販売されているし、全国各地で「キクイモ」による「村おこし」「町おこし」も盛んになってきている。先日、神奈川県山北の「道の駅」に寄った際も、この「キクイモ」が特産として大々的に売り出されており、菊芋ジュースや菊芋チップスと共に、生の根茎も売っていたので、即ゲットした。見た目は、大きさも形も根生姜(ヒネ生姜)のような風情で、そいつをタワシで洗って、生でサラダに、炒めてキンピラ風にして食したのだが、さほどクセもなく、なかなか旨かった。いずれスーパーなどで入手できるようになるかも知れない。
ところで「キクイモ」には、「イヌキクイモ」と呼ばれるものもあって、ここで掲載している写真は、おそらく「イヌキクイモ」ではないかと思う。「イヌキクイモ」は、根茎が貧弱でイヌ並みにしか役に立たないことから(ワンちゃん、ゴメンよ。オジさんはそうは思ってないからね)そう呼ばれているらしいのだが、地上部ではほとんど見分けがつかず、植物の権威の中でも、その差異は土壌などの環境の違いによるもので、「イヌキクイモ」も「キクイモ」と同種ではないかと見る向きもある。
ただ、先ほどの根茎の違いに加えて、花期が早いこと、葉の色がやや濃いことが「キクイモ」との違いとされ、さらに東京で見られるのはほとんど「イヌキクイモ」とされることから、この写真の「キクイモ」は「イヌキクイモ」ではないかと思うのである。ちなみに写真の撮影地は東京で、一昨日の撮影である。「キクイモ」の花の盛りは、もう1カ月くらい後なのだという。
ところで、さらにややこしいことに、これまたよく似た「キクイモモドキ」という植物もあるのだが、どんどん話がややこしくなるので、この辺でカット。「キクイモ」は根が深いらしいが、奥が深いことも確かなようだ。 (キャップ)