ちょっと嫌な話だが、そろそろ「復興特需」なんて言葉がささやかれ始めている。長い目で見れば、「善意」だけで世の中が回るわけではないから、復旧・復興事業に何がしかの営利が伴うようになるのは当然の流れだとは思うが、ひとの不幸につけこんで暴利をむさぼるようなあこぎな真似だけは、絶対にやめてもらいたいと思う。
自動車関連で今一番センシティブに反応しているのが中古車ビジネスである。テレビのニュース映像でも何度も映し出されていたが、東日本大震災ではたくさんの自動車が被災した。津波を被った自動車は当然使い物にならない。一方、被災した人たちにとって、車が無ければ身動きが取れず、生活の立て直しもままならないから、燃料事情もようやく平常化しつつあることもあり、マイカーに対するニーズは日毎高まってきているという。当然、経済的に余裕などなく、切り詰めた中での購入だから、購入対象は中古車で、中でも中古の軽自動車にニーズが集中しているそうだ。このため、極端な「タマ不足」状態となっており、相場も以前の2倍に高騰しているという。購入したくても購入できない被災者は、今後ますます増えるのではないか。市場原理とはいえ、何とかならないかと思う人も多いことだろう。
ちょっと意外かも知れないが、中古車の流通というのは新車販売と連動しており、新車が売れている時は中古車も売れるという相関関係にある。要するに新車を購入した人が手放した車が中古車市場に回り、相場が安くなるので中古車を買い求める人も増えるというわけである。
しかし、今は新車が売れない。今年3月の新車販売は前年同月比で35.1%の減。このうち軽自動車は31.6の減である。前年同月はエコカー補助金による販売増があったため、落ち込み幅が大きいという事情もあろうが、仮に新車が売れる状況にあっても、東関東大震災で部品メーカーが被災した影響で、今度は自動車メーカーの生産が本調子とはほど遠い。新車にしろ中古車にしろ、被災地を中心にクルマ不足という事態が早晩出来すると思うのだ。
ここで一つの提案だが、被災地以外の地域でマイカーを保有している人で、例えば「ふだんほとんど車を使っていない」とか「2~3カ月なら車をお貸ししますよ」という人たちから車を借り受けて、被災地でカーシェアリングのような形でその車を使うようなシステムは出来ないだろうか? 実質的な形で被災した人たちを助けたい、だけど義援金以外思いつかないという人は多いので、協力してくれる人は多いと思うのだが……。ある程度組織立った運営が必要で、その車の管理やアフターなどの保証も必要だろうから、JAFとか日本自動車工業会といった団体が動いてくれれば、実現は十分可能だと思うが、いかがか?
もう一つは、中古トラック・中古建機の被災地への流通の促進である。実は、日本国内で発生したこれらの車両は、品質が高く壊れにくいという日本車人気もあって、海外に輸出されることが多いのだが、これを一括して政府が買い上げ、被災地に向けるというものだ。市場原理に任せておいても、ある程度は被災地に流通すると思うが、政府が音頭取りをすれば、中古車業者も積極的に動いてくれるはず。
何しろこれからの被災地・被災者に対する救援・復旧・復興は、一歩先んじて手を打つことが肝心。後手に回る対応は、もうこれっきりにしなくてはならい。 (キャップ)