我が街の「困ったチャン」 前篇

我が街の「困ったチャン」 前篇

仕事柄知らず知らずの内に街を行き交う車を観察していることが多いのだが、最近気づいたのは、自宅の周辺にある車をことごとく覚えているという事実である。となり近所の車のみならず、ちょっと離れた貸駐車場には「あんな車がある」「こんな車がある」と記憶していて、その数およそ50台近いから、ちょっとした特技と言えるかも知れない。しかし、その特技が何の役に立つかといえば、実生活においては全く何の役にも立たない、オソロしくつまらない特技なのである。せいぜいスーパーの駐車場などで、「おっ、あそこに停まった白のカローラは、いつもどこそこの駐車場の奥から2番目に駐車しているカローラじゃん。へぇ、あんなオッサンが運転しているんだ」と一人で納得するくらいのもので、話のタネにもならないアホらしい知識である。しかも時として、つまらない知識に振り回され、知らなくてもいいことを知ってしまうこともある。

季節はそろそろ木の芽どきだが、となると、我が街の界隈に俗に「シエンタ・ババア」と呼ばれる危ないオバさんが出没する時期となる。実は、クルマを覚えていたせいで、このオバさんが意外なくらい我が家の近くに住んでいることが分かり、戦々恐々としているのだ。このオバさん、どう危ないか? その俗称の由来となったトヨタ・シエンタに乗っているのだが、道端に停め、民家に向かって車の中から怒鳴るのである。何を怒鳴るのか? 男女の閨房に類するようなことを朝っぱらから大声で怒鳴るのである。要約すると、「アタシを誘惑しておいて、今になって知らん顔はヒドイだろ、アンタ、男らしく出てきなさいよ!」といった趣旨なのだが、これをもう少しお下品かつ露骨な表現で怒鳴るのである。

しかし、怒鳴る先がその民家だけなら、その民家の住人と何かあったのかと邪推することもできるのだが、その行為を異なる数軒の民家に向かって行なうのである。正直言って、50歳代半ばと思しき若水ヤエ子に似た(誰だそれ?)オバさんである。いかな我が街のオトコ連中といえども、何人もそのオバさんと只ならぬ関係に陥って愛憎劇を繰り広げているとは思われない。つまりは、やはり危ないオバさんなのであろう。

しかも、このオバさんは前述の通りシエンタに乗っているから、どこにでも現われるのである。かつて布団をバンバン叩いた騒音オバさんに倣って言えば、モバイル騒音オバさんとでも言おうか、まったく神出鬼没で、いつなんどき我が家の前にシエンタを停めて、街宣を始めないとも限らない。これはコワい。まったくの冤罪なのに、この手の話はなかなか申し開きが出来ず、申し開きが出来ないから近所でヒソヒソ話が広がっても止める手立てがない。まったくもって我が街の「困ったチャン」なのである。 (キャップ)

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