45フィート国際コンテナの「解禁」をめぐって

45フィート国際コンテナの「解禁」をめぐって

明日から5日間、45フィート国際海上コンテナの輸送実験が仙台塩釜港高砂コンテナターミナルで行なわれる。主体は、東北経済連合会/東北運輸局/東北地方整備局によって構成される「東北国際物流戦略チーム」である。

45フィートコンテナは、40フィートの背高コンテナの長さを5フィート延長したもので、2005年にISO規格に定められてから、アメリカ・中国航路を筆頭に世界的に普及が進んでいる海上コンテナである。40フィートに比べ自重があるため、最大積載量自体は若干減少するが、容積は14~27%増加するので、繊維・雑貨・家電製品等のいわゆる『軽量カサ物』の輸送にメリットがある。
2008年2月23日には、学識経験者や東京・川崎に関係する官民で構成される「京浜港湾物流高度化推進協議会」(委員長・中田信哉神奈川大学教授)が主体となって、川崎港東扇島地区で我が国初の45フィートコンテナ輸送の実証実験が行なわれた。これは、川崎港コンテナターミナルから近くの大規模物流倉庫施設「かわさきファズ」構内を走らせ、ランプウェイでの曲がりの状況など走行状況を確認したもの。実は、その4日後の2月27日には、こちらも産学官で構成する「北部九州国際物流戦略チーム」が主体となって、北九州のひびきコンテナターミナル?国道495号線?若松区安瀬(約7?)で、より本格的な輸送実験が行なわれた。
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川崎での実証実験は、コンテナヤード内で使用されている45フィート対応の2軸シャシを用いたもので(実は45フィートコンテナはヤード内までは来ている)、ロックもヤードでの使用を前提としたチューリップタイプのものだったが、北九州では、40フィート・フル積載対応の3軸シャシの最後軸の後ろを1.5メートルほど延長した改造シャシで牽引した。もちろんロックはツイストロックだった。45フィートコンテナを牽引すると、どうしても車両全長が16.5メートルを超えてしまい、現行法の下では公道を走ることは出来ないが、北九州では供試車両の前後に安全確認車両を配して走行試験を行なった。また今年4月には、東京貨物ターミナル?宇都宮貨物ターミナル間で鉄道による45フィートコンテナの輸送実験が、さらに今年9月には、川崎港コンテナターミナルおよび山九首都圏物流センターとその付近の公道で、伸縮式コンテナシャシを使用した実証実験も行なわれている。

今回の仙台塩釜港の輸送実験は、仙台塩釜港高砂コンテナターミナルから約30km離れた岩沼市の東洋ゴム仙台工場との間で、高速道路、国道、県道の3ルートでそれぞれ45フィートコンテナの輸送実験を行ない、実用化に向けて必要な車両要件・道路条件の確認と通行の安全性や輸送の効率性等について検証するもの。実際に輸出するタイヤを積んで3つの公道ルートで45フィートコンテナの輸送実験を行なうため、より実際的かつ本格的な実証実験であることは間違いない。コンテナシャシはオランダのブロソイス社製で、前も後ろも伸縮する20/30/40/45フィート兼用の3軸シャシ。これに、日本国内の法規に準拠するよう一部改造が加えられている。東北国際物流戦略チームでは、実証実験後早急に結果報告をまとめ、45フィートコンテナの実用化に弾みをつけたい考えだ。

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確かに45フィートコンテナの「解禁」は時代のすう勢になりつつあるが、全面的な解禁か、あるいは一定地域内に限り特別に認めてもらう、いわば「45フィートコンテナ特区」的な解禁か、まだ予断を許さないところがある。北九州のひびきや今回の仙台塩釜港での「アピール」は、広く全国的な流通を狙っているというより、その地域の中でデバンニングしたりバンニングをする、あるいはJR貨物を使って日本各地の拠点に運ぶといった「特別扱い」により、企業を呼び込み、産業を興し、地域の活性化を図るといった狙いに重きを置いているはず。要するに長崎の「出島」的な考え方である。

海コンという黒船は、これまで何度も閉鎖的な島国の物流に国際化という名の開国を迫ってきたが、鎖国や禁酒法の例からも分かる通り、「抜け駆け」こそ最大のビジネスチャンス。地方のコンテナ港は、押しなべて運営に苦しんでいると聞くが、45フィートコンテナを呼び込むことで起死回生を図りたいという思惑が感じられる。
その地方活性化の熱い思いと努力には敬服するが、しかし、韓国・釜山やシンガポールにアジアのハブ港の地位を明け渡している日本の現状からすれば、そんな「ちまちま」した話では、とても追っつかないというのが正直なところ。こと国際物流に関しては、地方の利益誘導型の事業ではダメである、もっと骨太で未来を見越した青写真を描かなければ、日本はやられっぱなしのままだ。45フィートコンテナの「解禁」問題は、そんな課題を日本に突きつけているのである。(キャップ)

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