ボルボグループに所属する米国の大手トラックメーカー、マック・トラックスは地場輸送向けの大型トラック「アンセム」の刷新を発表した。
名前以外は全てが新しくなったという新型アンセムは、先に発表された長距離輸送用の大型トラック「パイオニア」を補完する車両で、内装やパワートレーンは両車で共通。新型アンセムでは操縦性を高めるためキャブ前後長を短縮したほか、ボンネットの改良により前方の視認性を劇的に高めるなど、市街地での運行を想定して安全性の向上にも重点を置いた。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/Mack Trucks
マック、大型トラック「アンセム」を刷新
米国の大手トラックメーカー、マック・トラックスは2025年6月25日、全面刷新した新型「アンセム」を発表した。アンセムは特に地場輸送のための大型トラックで、新型では操縦性、燃費効率、業界最高水準の快適性などに更に磨きをかけた。
同社は2025年4月に長距離輸送用の大型トラックとして新たに「パイオニア」トラックを導入しており、新型アンセムはこれを補完する地場輸送用のトラックとなる。マック・トラックスのグローバルプレジデントを務めるスティーブン・ロイ氏は次のように話している。
「運送業界は急速に進化しており、運行管理者は物流コストの上昇や複雑化する需要、ドライバー採用の難しさなどの課題に直面しています。新型アンセムは実用的なソリューションを提供することでこれらの課題に対応し、業界を前進させます。
弊社のイノベーションという伝統を受け継いだ新型アンセムは、先に発表した長距離輸送用大型トラック『パイオニア』と最新技術・設計原理の多くを共有しています。これにより私たちは地場輸送市場にも最新のイノベーションをもたらします」。
いっぽう、北米マックの社長を務めるジョナサン・ランドール氏のコメントは次の通りだ。
「新型アンセムは弊社と地場輸送セグメントにとって大きな一歩です。前モデルと同じ名前を冠しているのは、同じ価値・同じ特徴を持ち、改善点をわかりやすくするためです。ただし車両は、あらゆる面で大幅な進化を遂げました。
全面刷新したアンセムはお客様が重視する全ての分野で性能を向上しています。すなわち燃費、操縦性、ドライバーの快適性、安全性、コネクティビティ、そして稼働率です。まさに北米市場における『地場輸送の新水準』と言えるでしょう」。
地場輸送向けに操縦性を強化
新型アンセムの最大の特徴はその操縦性だ。これはバンパーからキャブ後ろまでの長さ(BBC)を113.5インチ(約288.3センチ)に短縮したことで実現した。パイオニアのBBCは125.5インチ(約318.8センチ)だ。
キャブ前後長で約30センチという差は、狭い場所や市街地での走行において優れた操縦性に繋がっている。
また、一新されたボンネットが前方視界を劇的に向上させた。従来の設計と比較してドライバーは約12フィート(3.6メートル)バンパー近くの視界を確保できる。これにより市街地での走行に多いフロントコーナーの衝突リスクを大幅に低減する。
同社でハイウェイトラックを担当する副社長のフェルナンド・コウセイロ氏は、「パイオニア」と「アンセム」について次のように話している。
「燃費効率を最大限に追求するなら『パイオニア』が最適ですが、操縦性を追求するなら『アンセム』が最適です。どちらのトラックも卓越した性能を発揮します。燃費と操縦性のどちらを優先するか、お客様は用途に応じた最適なツールをお選びいただけます」。
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