スカニアの「スーパー」パワートレーンシリーズに、新たに11L級の「スーパー11」エンジンが追加される。従来から設定されるスーパーシリーズの13L級エンジン(スーパー13)より85kg軽く、9Lエンジンより燃費が7%優れているという。
スーパー13エンジンとは部品の85%を共有し、馬力帯は350/390/430hpの3つ。新型エンジンは重量とエネルギー効率の両方に高い水準が求められる輸送をターゲットにしており、輸送品質を損なうことなく、効率、パフォーマンス、柔軟性を提供する。
スカニアは現在、日本市場向けのトラックにはスーパー13のほかに直列5気筒の9LエンジンとV型8気筒の16Lエンジンを展開している。新型エンジンは当初は欧州市場向けの展開と思われるが、国内展開にも期待したい。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/SCANIA CV AB
スカニア「スーパー」シリーズに11L級エンジン
スウェーデンのスカニアは2025年5月20日、大型トラック用パワートレーンの「SUPER(以下、スーパー)」シリーズに11L級エンジンを追加すると発表した。
スーパーシリーズは新規開発されたエンジン、トランスミッション、駆動軸などを組み合わせた高効率パワートレーンで、これまで13L級のディーゼルエンジンが搭載されていた(型番は従来と同じ「DC13」型を踏襲)。11L級の「スーパー11」エンジンは「スーパー13」エンジンより85kg軽く、従来の9L級エンジンより7%燃費を向上したという。
これによりパフォーマンス、燃費、信頼性を損なうことなく、更なる積載量を実現することが可能になる。
同社トラックセールス&マーケティングのプロダクト・マネージャー、アイヨーブ・ザルメリ氏は次のようにコメントしている。
「このエンジンはエネルギー効率とコスト効率を重視するお客様に新しい可能性を開きます。より軽量でコンパクト、柔軟でありながら、スカニアならではの堅牢性と信頼性を備えています。パフォーマンスと積載量、そして持続可能性のバランスをとる必要があるお客様にとって、日常業務を支える優れた選択肢となるでしょう」。
燃費と耐久性を重視
スーパー11エンジンは、出力帯として350hp(1800Nm)、390hp(2000Nm)、430hp(2200Nm)の3つのモデルが設定され、幅広い用途で優れた性能を発揮する。実績のあるスーパー13エンジンとはコンポーネントの85%を共有しており、異なる用途に適合するよう調整しつつ、エンジニアリングDNAは共通している。
また、メンテナンス間隔は9Lエンジンより最大30%長くなり、稼働時間の向上とサービスコストの低減につながる(スカニア純正の「LDF-5」エンジンオイルを使用した場合)。
長年にわたる技術開発の集大成としてほかにも様々な改良が施されている。スカニア独自のカムフェーザー技術による可変バルブタイミングが採用され、リアルタイムにエンジンの熱管理と燃焼最適化を可能とした。
また、制御ソフトとバランスシャフトが刷新され振動を低減するとともに、可変バルブブレーキ(VVB)システムによる344kWの強力なエンジンブレーキが組み合わされる。これら全てがよりスムーズで快適な運転体験を提供するエンジンに繋がっている。
さらに、アドブルー(尿素水)の消費量を減らし、エンジン全体の効率を向上するため、特許取得済みのターボドージングシステムを採用している。
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