三菱ふそうトラック・バスが2023年10月に発売した大型トラック、新型「スーパーグレート」に試乗。従来の10.7Lエンジンに代えて搭載される新開発12.8Lエンジンの走りを、多賀まりお氏がチェックします!!
文/多賀まりお、写真/トラックマガジン「フルロード」編集部
※2024年9月発売「フルロード」VOL54より
テストコース内で新型と従来型を乗り比べ!

試乗車は最量販車型である車両総重量25トン級4軸低床の「FS」系。最高出力394PS/最大トルク204kgmの「6R30(T1)」型12.8Lエンジンと12段AMT「シフトパイロット」を搭載し、試乗時は車両総重量25トンに合わせるため荷台にダミーウェイトを積んでいた。
今回の試乗では、テストコースの汎用路や登坂道で同じ394PS/204kgmの出力を発揮する「6R20(T2)」型10.7Lエンジンを搭載する同等車型の従来型車と乗り比べる機会があった。
6R20型もAMTによる発進はスムーズだが、坂道発進などではクラッチが繋がる過程でトルクを高める制御の存在を感じることがある。一方の6R30型は発進時の負荷に対してエンジン回転は安定しており、過給の得られない低回転域の「余裕感」は排気量の差が大きく影響していると想像する。
かつての排気量20L超の自然吸気と12〜13L級ターボエンジンほどの違いではないが、12.8Lの「最初のひと転がり」に安心感があるのは確かだ。
なお、シフトパイロットのクラッチは、ギアボックス側に入力軸と同心円状に配置したエアバッグでダイヤフラムスプリングを動かす構造をとり、乾式単板クラッチながら緻密な制御によってクリープトルクを発生させる。
Dレンジに入れてブレーキペダルから足を離すと、平坦路なら車体が微速で動き出すので、その状態からアクセルを踏み込めばよりスムーズな発進が可能だ。
車両が動き出してエンジン回転数が高まれば、6R20型も10.7Lの排気量を感じさせない充分なトルクを発生する。6R30型の1000rpmから1800rpmあたりまでのトルクカーブは同じ馬力帯の6R20型と同等になるように調整されているので、高回転まで引っ張ってもメリットはない。
高速道路を走ってわかった排気量アップのメリット
高速道路での6R30型を搭載した新型スーパーグレートは、高いギア段で低回転を保ち、ゆったりと走れるのが印象的だった。
12速で車速80km/hは約1000rpm、90km/hはおよそ1100rpmにあたる。このギアリングは6R20型も同じだが、6R30型は1000rpm以下のトルクの落ち込みが6R20型に比べて緩やかなので、低回転までよく粘る。
平坦路から上り坂になって走行負荷が高まったり、アクセルを踏み込んで加速を促す場面などでも11速に落ちにくく、12速のまま低い回転数から力強く加速する。シフトダウンの機会は、6R20型よりも明らかに少ないように思われた。
この違いは、燃費だけでなく運転するドライバーのストレス軽減にも効果がある。試乗した東北自動車道は比較的アップダウンがある区間で、交通量もそこそこあり、一定の車速を保ちにくい状況だったが、トルクの余裕を感じながらの巡航は快適そのものだった。
コメント
コメントの使い方