強大な低速トルクがもたらす省燃費! 三菱ふそう新型スーパーグレート・12.8リッターエンジンの注目すべきパフォーマンス

強大な低速トルクがもたらす省燃費! 三菱ふそう新型スーパーグレート・12.8リッターエンジンの注目すべきパフォーマンス

 三菱ふそうトラック・バスが「ジャパンモビリティショー2023」(JMS2023)で発表した、新大型トラック「スーパーグレート」。ネットではすでに話題だが、新たに主力となる12.8リッターエンジンについて、改めて詳報しよう。

文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/三菱ふそうトラック・バス、フルロード編集部

なぜ排気量アップなのか?

新型スーパーグレートが搭載する6R30型12.8リッター直列6気筒エンジン
新型スーパーグレートが搭載する6R30型12.8リッター直列6気筒エンジン

 スーパーグレートのフルモデルチェンジで大きく変わったのが、ディーゼルエンジンだ。

 新型が搭載するエンジン「6R30型」は、排気量12.8リッター・直列6気筒・DOHC・24バルブのインタークーラーターボ付で、単車型の主力ユニットとなる6R30T1は、最高出力394PS/1600rpm・最大トルク2000Nm(204kg・m)/1100rpmを発揮する。

 2017年に登場した従来型は、10.7リッター直6エンジンを主力としていたので、新型は約2割もの排気量アップとなる。競合車の日野「プロフィア」の8.9リッター直6、いすゞ「ギガ」の9.8リッター直6、UDトラックス「クオン」の10.7リッター直6と比べれば、新型スーパーグレートの「大排気量化」はさらに際立つだろう。

 いっぽう、前述の394馬力・6R30T1の最高出力・最大トルクのカタログ値は、その発生回転数を含めて従来の10.7リッター直6(6R20T2)と同じで、諸元表のトルクカーブにも大きな違いはない。しかし、それをより少ない燃料消費で発揮できるのが、排気量の大きい6R30型なのである。

JH25モード重量車燃費基準を達成

新型スーパーグレートの低床8×4車型「FS」のJMS2023展示用特別仕様車。JH25モード燃費値はリッター4.47kmで、目標基準値よりもプラス1.1%良好な数値のため「基準達成車」となる。ちなみに荷台のウイングボディも、FRPサンドイッチパネルを用いたパブコ製の新モデルだ
新型スーパーグレートの低床8×4車型「FS」のJMS2023展示用特別仕様車。JH25モード燃費値はリッター4.47kmで、目標基準値よりもプラス1.1%良好な数値のため「基準達成車」となる。ちなみに荷台のウイングボディも、FRPサンドイッチパネルを用いたパブコ製の新モデルだ

 JMS2023に展示中の新型スーパーグレートFS・車両総重量25トン・低床8×4駆動モデルを例にとると、6R30T1搭載車のJH25モード(2025年度重量車燃費基準値計測モード)燃費値は、リッター4.47kmで目標基準値を達成する。対して、同じ仕様の従来型(21年モデル)6R20T2搭載車はリッター4.01kmで未達である。

 JH25モード燃費値には、キャブの空気抵抗やタイヤの転がり抵抗の実測値も少なからず影響するが、エンジンの燃費測定点も増えているため、目標基準値(リッター4.42km)のハードルは高い。その上で、排気量(シリンダ容積)が大きい6R30型は、エンジン回転数を抑えても厚いトルクが確保できるため、良好な燃費で走らせられる……というのが三菱ふそうの説明で、エンジンの騒音も抑えられ、より静かなドライビング環境にもなっている、とのことだった。

 なお、FS以外の車型のJH25モード燃費値は、FU・車両総重量20トン超・6×2駆動がリッター4.46km、FV・車両総重量20トン超・6×4駆動・ダンプが同じくリッター4.46kmで、いずれも基準値を達成する。セミトラクタはFP-R・4×2駆動・421PS車がリッター3.32km(目標基準値リッター3.11km)で、基準値を6.7%上回り、表記上は「+5%超過達成車」となる。相当する従来型も基準達成車だが、新型の燃費の良さがうかがえるところだ。

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