最近、大型車の車輪脱落事故が問題視されていますが、タイヤ&ホイールの正しい知識と点検・作業方法を身に着ければ、事故やトラブルは未然に防げることも多くあります。
そこで今回は、意外と知られていないホイールについての注意点をトラック・バス専門のタイヤサービスマン・ハマダユキオさんに解説してもらいました。
文・イラスト/ハマダユキオ、写真/トラックマガジン「フルロード」編集部
トラック・バス用ホイールの知識
タイヤは単体では何の性能も発揮できません。タイヤに空気を規定圧充填し、車両へ正しく装着しなければ役目を果たさないんですね。
充填する空気圧に耐え、その圧力を維持、そして車両からの方向転換や出力をタイヤへ伝え、その逆の路面からの情報をタイヤからくる情報を車両、そしてドライバーに伝える役目のパーツ、それがホイールです。
トラック・バス用のホイールですが、4tクラス以上は乗用車のようにデザインやサイズのバリエーションがそれほど多くありません。デザインは厳密に言うとホイールメーカー等で多少の違いはあるものの、そんなに違いがあるわけではなく、ほぼ同じようなデザインになっています。
車両メーカーが違ってもホイールの使い回しは可能で、締結形式が同じ同士の車両ならタイヤ付きで付け替えすることも可能です。
そんなホイールもタイヤ同様にサイズがあります。大型用のスチールホイールの最もポピュラーなサイズですと、22.5×7.50 162 T13 3450kgという表記のホイールサイズがあります。
22.5はリム径。大型高床で多いサイズですね。たとえぱタイヤサイズでいうところの275/80R22.5の22.5と同じリムサイズのタイヤを組みます。単位はインチ。
続いて7.50はホイールの幅です。タイヤサイズで先ほどのサイズで言えば275の数字と同じ意味ですね。この幅の数字は、もしタイヤのサイズ変更する場合はタイヤ同様に変更するのが望ましいです。タイヤの幅単位はミリですが、ホイール幅の単位はインチになります。
次の162はオフセット。これはホイールの幅方向の中心からホイールディスク面までの距離です。オフセットはホイールの幅で変わり、乗用車のように選べるバリエーションはありません。単位はミリです。
ホイールの板厚にご注意を!
T13、これはホイールの材質の厚みの数字です。T13のTは恐らく英語のThickness(厚み)ではないかと思います。13は厚み。単位はミリ。
大型のスタンダードホイールですとほぼこの13ミリですが、14ミリの強化ホイールもあります。この厚みで注意が特に必要なのはトレーラでの使用です。
今の新型シャシーは平座面のISOになってることが多いですが、低床16輪のJIS、6穴タイプは厚み確認が必要です。
タイヤサイズ235/70R17.5または235/75R17.5装着のJIS6穴は、4tクラスとボルト孔の位置、数は同じでも材質の厚みが違います。
ホイールサイズは6.00×17.5または6.75×17.5でこの装着車両の範囲はかなり広いです。最近は2t車、3t車ベースもこの17.5サイズの装着車両が増え、材質が薄いタイプも存在します。
通常は12ミリですが、薄いタイプは9ミリです。ホイール本体の軽量化だと思いますが、重量も板厚12ミリですと1本あたり約22kg、これが板厚9ミリになると約16kgと1本あたり約6kgも軽くなってるのですよ。低燃費向きですね。
ただ、強度の問題で特に重量物運搬など使用環境が厳しい車両には、逆に板厚の薄いホイールは使用を控えた方がよろしいかと思います。
ホイールが割れたり、何らかの事象でホイールが破損した場合、「なんでも良いから着けてくれ」とか「中古で良いから」っていう場合はご注意を……。
コメント
コメントの使い方