UDトラックス新型コンドル・ファーストインプレッション
18年ぶりにフルモデルチェンジしたUDトラックスの中型トラック「コンドルМK/LK」のプレス向けの発表・試乗会が7月11日、埼玉県・上尾の同社本社工場で行なわれた。現役トラックドライバーである長野潤一がそのインプレッションをお伝えしたい。
キャビンを18年ぶりに一新
まず、キャビンのデザインだが、ヘッドランプがバンパーに組み込まれ、より精悍な印象になった。中型車のバンパー・ヘッドランプの採用は、これで日野、三菱ふそう、UDの3社となる。いすゞは独自路線で、エルフと共通デザインの縦型を採用、より親しみやすいフロントマスクとなっている。
新型コンドルのヘッドランプを見ると、大型トラックのクオンと共通であることがわかる。これは日野プロフィア&レンジャー、三菱ふそうスーパーグレー&ファイターと同様の手法だ。新型コンドルは、クオンとキャビンのデザインコンセプトを統一することにより、部品の50%を共通化しているという。
ただ、ウインカーを上方に配しているのがクオンとの相違点で、1975年登場のCМ90G「コンドル」や、グリルの形状がかつてのPTC81Jを彷彿とさせ、UDのトラックであることを主張している。
新開発のメインエンジGH5 4気筒4.7リッターにダウンサイジング
今回の開発のもう一つの目玉は、新型エンジンGH5の投入である。積載量4t車(GVW8t未満)は直列4気筒4.7リッター、215PSのGH5エンジンのみとした。積載5~6tのLKシリーズにはGH5とGH7(直6.7リッター、245PS)が用意される。
かつて、中型トラックの主流といえば、直6の7リッターで最高出力も230~280PSと高速走行でも余裕があったが、直4の4.7リッターで果たして十分だろうか? もともと4気筒や5気筒が登場したのは、ドリンク類の配送など、ベッドを必要としないショートキャブ用にエンジン長を短縮するためだった。
しかし、215PSのGH5に試乗してみると、ウエイトを積んだ総重量8tの車体をスムーズに引っ張って、力不足は全く感じさせない。むしろ、このくらいの方がムリな運転をせずにちょうどよいのではないだろうか? 4気筒にすることにより心配されるフリクションの増加も全くなく、騒音レベルも小さい。
エンジンの小型化は、軽量化や燃費の改善にもつながっている。最近の欧州車が排気量の小さなターボエンジンを積んでいるのにも似ている。燃費はポスト新長期排出ガス規制をクリアしたうえ、高速走行で11.6%、市街地走行で1.6%を改善している。
これまでUDトラックスは、中型トラックのエンジンについて日野自動車からOEМ供給を受けていたが、「エンジンも自社生産することにより社員のモチベーション・アップにもつながった」と竹内 覚社長。「しかし、日野自動車にこれまで受けてきた恩も忘れはしない」とも。GH5エンジンはボルボグループ内の他社にも供給される。
基本に忠実なトラックづくり
新型コンドルのパワートレーンにおいては、ハイブリッドやAМTといった華々しい先進技術はない。しかし、トラックづくりの基本に忠実な1台だと感じる。
その一つが、オルガン式のアクセル・ブレーキペダルを守り続けている点である。他社のトラックは大・中・小型ともに吊り下げ式ペダルに移行している場合が多い。オルガン式の利点は、アクセルでは、シートサスによってシート座面と床の距離が変わっても、かかと位置を固定でき踏み加減がブレない。ブレーキペダルでは踏む面積が大きく、踏力の調節も容易だ。すなわち、オルガン式は操作の正確性に利点がある。
「サイドアンダーミラー」は、左側サイドミラーに付く第3のミラーであるが、斜め後方の広範囲の安全確認に役立つ。現行法での装着義務はGVW8t以上、いわゆる旧大型トラックのみである。しかし、新型コンドルの試乗車には装着されており(標準装備ではないが)、視認性・安全性への配慮がうかがえる。
また、フロントサスはいすゞのように硬すぎず、乗り心地は快適である。自社製の6段マニュアルトランスミッションも、他社製のトラック (日野は若干渋い) より小気味良く素直に入る。
インパネのデザインはオーソドックスで目新しくはないが、操作性はよい。排気ブレーキ・スイッチの左コラムの操作は、三菱ふそうと同じで上が「入」になるが、これは全メーカーで統一して欲しい。
国産トラックの内装で気になる点は、ステアリングが地味だという点。「男の仕事場…(いや女性も)」なんだから、ボルボの4スポークぐらい豪華にならないかと思う。