過積載といえばダンプカー
前回は建築資材(主に石膏ボード)を運ぶ運送会社の過積載について書いたが、今回は過積載の常連(?)だったダンプカーについて書いてみたい。
一般の人が積み過ぎのトラックといって、まず第一に思い浮かべるのはダンプカーではないだろうか。確かに街中を轟音を立てて走るダンプカーは、排気ガスをもうもうと吹き上げ、土砂を道路にバラ撒くなど、あまりいいイメージをもたれているとはいい難い。
では、実際にダンプカーはどのくらいの荷物を積んでいたのだろうか?
東京の中央線飯田橋駅の駅ビル「ラムラ」の建設工事が行なわれていたときのことである。大きな工事現場だったので、荷物の積み降ろしのために大型クレーンが来ていた。僕は内装工事用の材料を積んで、クレーンで下ろしてもらう順番を待っていた。
工事現場に入る入り口は土を盛ったばかりらしく、その上に厚い鉄板が渡してあった。その上をダンプカーが砂を満載して入ってきた。正確には「入ってこようとしていた」といったほうがいいのかもしれない。
なぜなら、ダンプカーは鉄板の上に乗った瞬間、下の盛り土が崩れたらしく、大きく右に傾いてしまったのだ。そのまま横転するかと思ったが、途中で止まったのは幸いだったといえる。
しかし、事故は事故である。現場は大騒ぎになった。ダンプカーは工事用車両入場口をふさぐ形で止まってしまったので、そのままでは後のクルマが中に入れなかったからである。
結局、大型クレーンでダンプカーを吊り上げることになった。荷降ろし作業が中断になったので、僕は一緒に来ていたガミさん(ぼくらの中で一番古い運転手。通称『性悪仮面』)と、吊り上げ作業を見ていた。
「どのくらい積んでいるんだ」とクレーンの運転手が聞いている。「定量だ」ダンプカーの運転手が答える。それを聞いて、クレーンの運転手がダンプカーにワイヤーをかけた。ガミさんはそれを見ていて、「バカタレが、ワイヤーが切れるぞ!」と言った。そのダンプカーは高アオリだったのである。さて、準備が整い、いざ吊り上げということになった。しかしクレーンが唸る割には、ダンプカーはびくともしない。そのうち、ビシッという音がしてワイヤーが切れてしまった。クレーンの運転手が真っ赤になって飛び降りてきて、ダンプカーの運転手を怒鳴りつけた。「てめぇ、いったい何トン積んできたんだ!?」
ダンプカーの運転手はそのけんまくに押され、思わず本当のことを言った。「30トン……」。結局その運転手は、20トン分の砂を手で下ろして指定の場所に運び、定量になってからクレーンで吊り上げてもらうことになった。ひとりでやっていては日が暮れてしまう。(もともとダンプカーは手降ろしをするようにはできていない)彼は自腹を切ってそこにいた手のすいた作業員を雇い、砂を下ろすはめになった。大損害だったろう。 (山高一浩)