1台に3台分の荷物
半分の荷物でも過積載といった、こんなエピソードは序の口で、首都高速の湾岸線でてっちゃん(もう何回か登場した僕の仲間の運転手)が見た光景も、なかなかすさまじいものだったらしい。
梅雨時の小雨模様のある日の午後、てっちゃんは川崎市塩浜にある、とあるメーカーの建材倉庫から積んだ荷物を千葉市内の現場に運ぶために、首都高速湾岸線を走っていた。
いつもは渋滞する湾岸線もその日はかなり空いていて、有明付近までスムーズに進めた。その先が少し渋滞したので、スピードを落とし何気なく対向車線を見ると、そこに見慣れた4トン車が、路肩に荷物を満載して止まっていた。荷物は間違いなく石膏ボードである。
何で止まっているのかよく見ると、車体が大きく傾いている。さらによく見ると、右の後輪がパンクしているらしいのがわかった。
さらにわかったのは、同じ会社のトラックが2台来ていて、荷物を積み換えるらしいということである。小雨の中、シートをはがしてあったのもそのためらしい。
しかし通常であれば、パンクぐらいで荷物の積み換えはしない。普通の運転手なら、タイヤ交換ぐらいは誰でもできる。わざわざ自分の会社に電話をして、応援を頼むというのはよほどのことである。時間のロスも、当然考えなければならない。
それでもなお、応援のトラックを頼んだ理由は何か。それはただひとつ、タイヤ交換ができなかったからに他ならない。それはなぜか。ひょっとしたら他の理由があったのかもしれないが、この運送会社に限り、考えられる最大の理由は「過積載のせいで、車体がジャッキアップできなかったから…」である。少なくとも、その話をてっちゃんから聞いた僕たちの仲間は、そう確信した。 (山高一浩)