梅雨時の定番中の定番「アジサイ」
ほんのり色づいた頃の花色が特に好ましい
「アジサイの葉にカタツムリ」というのは、かつては梅雨時の定番中の定番の風景だった。最近では、環境の急激な変化のせいか、カタツムリはめっきり減ってしまったが、一方のアジサイは元気である。ちょうど今の時期、青やピンクや白のアジサイの花が至るところで咲いているから、きっと多くのトラッカーも目にしていることだろう。
漢字で「紫陽花」と書くアジサイは、いかにも日本人好みの花だと思うが、それもそのはず、アジサイは日本原産といっても過言ではない花なのである。一般的に一番よく見られる球状のアジサイ、すなわち西洋アジサイ(ハイドランジア)は、日本のガクアジサイが中国経由でヨーロッパに伝わり、彼の地で品種改良されて世界に広まったもの。だから広義には、西洋アジサイもガクアジサイの仲間なんだそうだ。
今朝の我が家の西洋アジサイ 鉢植えで買ってきたものを地植えにすると、あっという間に大きな株になってしまいました
また、よく知られているように、西洋アジサイの花弁のように見えるものは、実は萼(ガク)が花弁状に変化した装飾花と呼ばれるもの。その中央部には、おしべとめしべが退化した中性花と呼ばれる花がある。一方、ガクアジサイのガクは「額」と書き、装飾花がちょうど額縁のように中央の両性花(おしべとめしべのある花)を取り囲んでいることから名づけられたのだという。
ガクアジサイにもいろいろな品種があります
このガクアジサイによく似ているのがヤマアジサイだ。正直に言うと、その違いが判然としないのだが、ガクアジサイの花に比べてやや小ぶりで、山間の沢沿いによく生えているのでサワアジサイとも呼ばれるそうだ。ただ、ガクアジサイ、あるいは西洋アジサイと同様に、今ではたくさんの品種がつくられているので、素人にはますます分かりにくい状況になっている。
ヤマアジサイの人気品種の紅(くれない)、……だと思います、たぶん(笑)
そんなヤマアジサイであるが、そこで登場するのがヤマアジサイの一変種といわれる「アマチャ」である。そうである、「かっぽれかっぽれ、甘茶でかっぽれ」の俗謡で知られるあのアマチャである。あるいは、仏様の誕生日を祝う灌仏会、すなわち4月8日の花まつりに頂く甘茶である。甘茶は、アマチャの若い葉を蒸して揉み、乾燥させたものをお茶として飲むもの。アマチャは、発酵すると酵素により砂糖の約1000倍の甘味を持つフィロズルチンが生成されるそうだ。実は、我が家にもアマチャがひとむら生えていて、ちょうど今は花が見頃なのだが、未だ甘茶作りに挑戦したことはなく、いつも「来年こそは…」で終わってしまっている。鉢植えで貰ったものを地植えにしたら、西洋アジサイをしのぐ勢いで大きくなったもので、貰ったときは、やや「ありがた迷惑」だったが、近頃は西洋アジサイの華やかさより、アマチャのジブさが好ましく感じられることもある。甘いけれど渋い、名脇役の味といったところだろうか。なお、一般的なアジサイの葉には有毒な成分が含まれており、中毒事故も起きているので、どうか気をつけていただきたい。
我が家のアマチャ これも鉢植えを地植えにしたら大きな株になっちゃいました
アジサイには、そのほかにもいろいろ種類があるが、これから流行りそうなのが両方とも北米原産なのだが、カシワバアジサイとアメリカアジサイのアナベルだろう。カシワバアジサイは6年前、鎌倉の東慶寺の境内で見かけて、「へぇー、こんなアジサイもあるんだ!?」と驚いたのだが、その名の通り葉が柏の葉状で、花はピラミッド状に咲く珍しいアジサイである。しかも葉は秋には紅葉するというから、二度楽しめる品種だ。
東慶寺の境内に咲いていたカシワバアジサイ
ご近所の庭のカシワバアジサイも今が見ごろ スノーフレークという品種らしい
また、アメリカアジサイのアナベルは、大きいものでは25cmにもなる花の大きさや装飾花の密生ぶりが魅力である。ちなみに一昨日放送されたNHKの「趣味の園芸」によると、これまで白ばかりだったアナベルに今年からピンクの品種が登場したということなので、また人気が出そう。
アジサイは花期が長く、雨に打たれてもきれいに咲いている、まさに梅雨時にふさわしい花だ。花言葉は、移り気・高慢・辛抱強い愛情・元気な女性・あなたは美しいが冷淡だ・無情・浮気・自慢家・変節・あなたは冷たい……などなど、いろいろ取り揃えているので、どうぞお好きなものを選んでください(笑)。 (キャップ)