今こそロジスティクスの確立を…

今こそロジスティクスの確立を…

政府の緊急災害対策本部の要請を受け、全日本トラック協会を通じてトラック事業者が被災地に輸送した救援物資は、地震発生当日の3月11日から3月22日までの合計で、食糧品541万3,273食、飲料水261万7413本、毛布等45万7448枚、発電機560台、移動電源車53台、ポケット線量計837個、トイレ4483台、紙おむつ12万9279個、ろうそく1万3000本、ラジオ3000個、テント900張など、多数に及ぶ。延べ輸送先数は、宮城県209箇所、福島県281箇所、岩手県217箇所、茨城県38箇所、その他13箇所で、合計758箇所。輸送手配台数は、国による緊急輸送が687台、都道府県による1778台で、合計2465台にのぼる。

もちろん、これで十分とは言えないだろうが、地震発生当日から救援物資を積んだトラックは被災地へ向かい始め、翌日もしくは翌々日には、被災した直後の緊急の救援物資としては、かなりの量の救援物資が現地に届いていたのである。しかし、被災した人達が喉から手が出るほど欲した救援物資、そしてトラックドライバーが一刻も早く届けようと危険を顧みずに運んだ救援物資は、なかなか被災者の元には届かなかった……。
なぜだろうか? もちろん、さまざまな理由があげられるだろうが、物の流れをコントロールするマネージメントを全く欠いていたことは明らかだろう。いわゆるロジスティクスの考え方だ。

今では一般化しているロジスティクスという言葉は、もともとは「兵站」を意味する軍事用語で、兵站とは戦場の最前線の部隊へ物資を供給したり必要な連絡線を確保する後方支援の役割のこと。物資の配給や整備、兵員の展開や衛生、施設の構築や維持などを含み、兵站の優劣が戦争の勝敗の分かれ目になるほど重要な要素である。
今般の東北関東大震災の災害対策では、物流はあってもこのロジスティクスの考え方が決定的に不足していたことは明らかで、特に燃料の供給に関しては、致命的な立ち遅れのミスを犯しており、マネージメントを怠ったトップの責任は極めて重いと思う。
ロジスティクスが「兵站」という戦時の必要から生まれたものなら、戦時にも似た大規模被災という非常時にこそロジスティクスの確立を急ぐべきだったのだ。

そして、ここに来てようやく事態が動き出した。
国土交通省は、東北運輸局および関東運輸局から関係自治体等に対し、被災地の救援物資の集積拠点から避難所等への末端輸送の円滑化、効率化等(地元ニーズの正確な把握、適切な仕分け、最適な配送等)を図るため、物流専門家の派遣について働きかけ、調整を行なっていることを発表。ここでいう物流専門家とはトラック運送事業者のことで、すでに宮城県、岩手県、茨城県で取り組みを開始しているという。

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また、宅配便の雄「ヤマト運輸」も末端の救援物資輸送に協力する体制を整えた。
ヤマト運輸は、岩手県・宮城県・福島県の同社主管支店内に「救援物資輸送協力隊」を設置し、各自治体と連携を取りながら、救援物資を各地の避難所・集落・病院・養護施設等まで届ける業務などに、グループの総力をあげて全面的に協力する体制を構築。
ヤマト運輸は、災害発生直後より国・自治体からの依頼を受け、全国各地から被災地への救援物資の輸送、被災地内における救援物資の輸送に協力してきたが、一方で、長引く避難生活にある被災者のストレスを少しでも解消するためには、よりきめ細かくスピードのある救援物資の配送体制の強化が不可欠であると判断。地域に密着し「ラストワンマイル」を担う宅配事業者として、救援物資を必要としている人々に1日も早く必要な物資を届けるべく、必要な車両・人材・ノウハウを提供し、グループの総力をあげて全面的に協力することにしたもの。ヤマト運輸では、宅急便の集荷・配達サービスの復旧は重要な課題としてとらえているが、燃料不足問題が解消されない中、より緊急度の高い救援物資の輸送を優先的に取り組んでいくという。
具体的な体制としては、岩手県・宮城県・福島県下の2tクラス集配トラックの約2割にあたる200台を活動にあて、その車両を運行する人員および倉庫内作業に必要な人員の計400~500人を配置するという。当面2週間を目途に運営するが、その時点での状況、国・自治体の意向を踏まえ、体制の見直し・継続の判断を行なう予定。「救援物資輸送協力隊」は、避難生活を送る被災者への物資輸送が安定するまで継続するという。

被災地のライフラインを支えるトラックの真骨頂は、いよいよこれからが本番である。(キャップ)

 

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