私の場合、「ヘエーッ! 偶然だね、こんなこともあるんだね!?」ということが、割とよくある。こないだも日野自動車の取材の帰り、多賀氏のクルマに同乗して中央自動車道を走っていたのだが、何気なく「うちのカミさん、奥飛騨の実家に墓参りに行ってんだけど、今日帰るんだよね。中央道でバッタリ遇ったりしてネ」なんて言っていたら、前を走っていたのがまさにカミさんのクルマで、追い越しざま助手席から「ヤアッ!」と言ったら眼を丸くして驚いていたとか、スペインはグラナダのアルハンブラ宮殿を駆け足で見て回っていたら、よく行く近所の写真屋さんの夫婦に遭遇し絶句されたとか、いすゞフォワードの試乗の際、走行中に東名高速で撮った写真の1枚をメインカットで使ったら、その写真とほとんど同じ場所・ほぼ同じアングルの写真がフォワードのカタログのメインカットで使われていた、なんてこともあった。考えてみれば、あまり実利のある「偶然」ではなく、せいぜい話のタネになるくらいで、運命論者になるにはほど遠い出来事ばかりだが、こんなこともあった。
もう5?6年前の話になるが、ドイツの地方都市のカールスルーエという街に行った時のことだった。ホテルに泊まり、翌朝早く散歩に出たのだが、朝もやの中、ホテル横の広場の向こうに何やら不思議なクルマが停まっている。「何だ何だ? ハテ、どこかで見たような……」。近づいてみると、それは何と私の憧れのルイジ・コラーニのトラックではないか! 「何でこんなところに?」という疑問と共に、ドイツの地方都市で運命に導かれたように憧れのトラックに出会えた「偶然」に、鳥肌が立つ思いだった。そして、その「偶然」はそれだけで終わらなかったのだ。 (キャップ)