その昔「降る雪や、明治は遠く なりにけり」と詠んだ歌人がいましたが、時代は下って今や令和7年。ひと時代前の昭和や平成と比べて「隔世の感」を禁じえない人は多いのではないでしょうか?
「昔はよかった」「いやいや今の時代のほうがずっといい」など感慨は人それぞれだと思いますが、今回はベテラントラックドライバーである尾山ママに「昭和は遠くなりにけり」を語っていただきました。彼女が語る「トラック今昔物語」は果していかに?
文/尾山ママ、写真/尾山ママ・フルロード編集部
*2025年6月発行トラックマガジン「フルロード」第57号より
昭和の女性運転手として
「昭和(もしくは平成)は遠くなりにけり」とな? 昭和のことは覚えているけど、平成? 覚えていない。
そんなどっぷり昭和なアタクシですが、昭和の頃って運送会社の面接に行くと、一言目には「結婚する予定はないですか?」と聞かれていました。「就職しましたが、結婚したので辞めます」なんてことを避けたかったのか? そんな理由で断られることもありました。特に大手の会社ですけど……。
私が運転手になった時代は昭和でしたから、その頃はまだ女性運転手は少なくて、特に大型トラックに乗っている人は珍しく、見かけたのは夫婦でダンプに乗っているオバチャンくらいでしたからね。
最初に乗ったのはコンビニ配送の2t車でした。その後大型に乗れたのは地元のダンプ屋だったかな。「デコンプ」という機能(?)が付いていました。これを引かないとエンジンが掛からず、押さないと鍵を抜いてもエンジンは停まらないものです。
トラックのエンジンも進化し続けていますからね。最近はコンピュータですもんね。メーカーにもよると思いますが、ふそうはね、エンジンオイル補充もガソリンスタンドでできないんですよ。わざわざディーラーに行かないとなりません。コンピュータで管理しているから? 知らんけど、面倒くさーい!
スクラップトレーラのあるある話
私の仕事はスクラップ屋なので積み荷は鉄です。積み降ろしはほぼマグネットです。ときどき天井クレーンでやります。
ふそう車しか知りませんが、コンピュータがカプラ辺りにあるのか、積み降ろし時にエンジンを掛けたままにしておくと、コンピュータにエラーが生じてフロントパネルにはいろいろな異常マークが点灯します。その時は一度エンジンを切って掛けなおすと消えるんですが、最初の頃は知らなかったので大慌てをしてしまいました。
それからエンジンを切るようにしています。いま乗っているトラックはいすゞですが、わからないのでエンジンカットしています。
私にとっては面倒なだけのコンピュータ化ですが、便利になったと感じる運転手さんもおられるんでしょうね。職種によって仕事内容が違いますもんね。
コンピュータといえば、製鉄所の受付方法も変わってきていて、これまでは到着順で順番待ちをしていました。台数が多いときには、待ち時間が5時間とかいうこともありました。
製鉄所によって方法は多少違いますが、今は受付が予約制になったり、時間前に電話で予約受付したり、手書きでしていた入門手続きがタッチパネル入力になったりです。人と人の対面受付はほとんどなくなりました。まだ数カ所対面がありますが、それもなくなる日が来るんですかね。
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