2023年7月に国土交通省が創設したトラックGメンは、長時間荷待ちなど、トラック事業者が法令遵守できなくなるおそれのある行為(違反原因行為)を行なっている疑いのある荷主や元請事業者に対し、貨物自動車運送事業法に基づく是正指導を行なう部隊のこと。
昨年11月には、物流産業全体の取引適正化を進めるため、トラックGメンを「トラック・物流Gメン」へ改組し、物流担当部署の職員と各都道府県のトラック協会の「Gメン調査員」を加えた総勢360名規模に体制を拡充している。
10月・11月はそのGメンたちによる集中監視月間だ。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部、写真/「フルロード」編集部・国土交通省
公正取引委員会と連携し全国規模で実施
悪質な荷主等への是正指導には3つの段階がある。まず、違反原因行為を荷主がしている疑いがあると認められる場合の「働きかけ」、ついで荷主が違反原因行為をしていることを疑う相当の理由がある場合の「要請」、そして要請してもなお改善されない場合の「勧告・公表」だ。
昨年の集中監視月間(11月・12月)の是正指導は、「働きかけ」が423件、「要請」が7件、「勧告」が2件で、相応の成果があった。
国土交通省では、今年も10月・11月を「集中監視月間」と位置づけて、適正な取引を阻害するおそれのある行為をしている荷主や元請事業者に対する監視を強化する。公正取引委員会と連携し、荷主等への合同パトロールを全国規模で実施。荷主等による違反原因行為の未然防止等の観点から、改正物流法や来年1月に施行される取適法(改正下請法)の周知啓発活動を合同で行なう。
また、新たに外部チームとして「Gメンアシスタント事務局」を設置し、トラック・物流Gメンが行なう活動の総合的なサポートや分析業務を実施することで、荷主等の監視体制の強化を図る。
事前の情報を元に積極的に情報収集
集中監視月間においては、「トラック・物流Gメン」が今年8月に実施した全トラック事業者に対する違反原因行為の実態調査、令和7年度の倉庫業者に対する寄託者の振る舞いに係る調査および関係省庁から寄せられた情報などを活用し、トラック事業者、倉庫業者に対するプッシュ型情報収集を積極的に実施する。
その結果、違反原因行為等の疑いがあると認められた荷主・元請事業者(荷主等)に対しては、働きかけ等の是正指導を行なう。
また、今回の集中監視月間では、各地方運輸局と公正取引委員会地方事務所等が全国規模で連携し、荷主等の営業所、物流拠点に対する合同荷主パトロールや高速道路のSA・PA等におけるトラックドライバーに対する聴き取り等により、荷主等による違反原因行為の未然防止等の観点から、改正物流法や取適法の周知啓発活動等を積極的に実施する。
なお、各地域の合同荷主パトロール等の具体的な実施日時、実施場所等については、今後、地方運輸局及び公正取引委員会地方事務所等において個別に報道発表を行なう予定となっている。
このほか、新たに外部チーム(業務委託)として「Gメンアシスタント事務局」を設置し、Gメン活動で得られた情報の調査分析やGメン活動の総合的サポートを行なうことにより、「トラック・物流Gメン」による荷主等への監視体制の一層の強化を図っていくとしており、令和7年度は、デロイトトーマツコンサルティング合同会社に業務委託をしている。
あわせて、今まで本省および日本倉庫協会にのみ置かれていた倉庫業者向けの通報窓口について、地方運輸局にも設置することにしている。
なお、全国すべての地方運輸局からトラック・物流Gメンが荷主等の本社や着荷主が多い東京へ集結し、公正取引委員会本局との合同による大規模な合同荷主パトロールを実施する予定で、その出発式が10月28日に執り行なう。
これは、荷主等に対する改正物流法や取適法の周知啓発活動で、複数の班に分かれて、都内(荷主拠点及び主要駅本社事務所等を予定)の荷主を個別に訪問するもの。
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