時代とともに安全性を最優先する職場になりました! 【セメントを運ぶバルクトレーラの決まりごと】

時代とともに安全性を最優先する職場になりました! 【セメントを運ぶバルクトレーラの決まりごと】

 北海道でセメントバルクトレーラを運転しているかんちゃんに、会社や業界の決まりごとやルールを聞いてみました。この仕事に就いて長い経験を有するかんちゃんだけに「昔とはずいぶん変わったな~」というのが実感のようです。

文・写真/セメントバルクトレーラ運転手ドライバー・かんちゃん
*2024年12月発行「フルロード」第55号より

昔はちょっとアレでしたが、今は超ホワイト

時代とともに安全性を最優先する職場になりました! 【セメントを運ぶバルクトレーラの決まりごと】
バルク車とは粉粒体運搬車のこと。中でもバラセメントを運ぶセメントバルクはその代表格だ

 セメント輸送に関してのルールは時代時代でいろいろあります。始めた当初はルールなんてものはほとんど存在しなかったですね。それこそ積み込み時に車体を前後に動かし、急ブレーキをかけてとんでもない積載量を積んで走っていました。

 拘束時間どころか、3日間で寝る時間が3時間とか、違う意味で凄ルールがたくさんありました(笑)。今は超ホワイトで、セメントの積む量も最大積載量ではなくGVW(車両総重量)・GCW(連結車両総重量)などをオーバーすると伝票が出てこなくなっています。

 また、積載カードを入れると予め入力してあるセメントの種類しか積めないようになっていて、誤積みがゼロになりました。これはセメントメーカーが決めたルールですが、ドライバーにとってもありがたいルールですね。

 積み場・積み場でもいろいろとルールがあります。セメント堆積基地だからといって、どこも同じルールが通用するかといえば、意外と通用しません。独自のルールは必ずあります。

 細かいことでいえば、私がよく積みに行く苫小牧SSと留萌SSでは集塵機のバルブの開け閉めが違います。苫小牧SSは集塵機のバルブは最後は閉めて退場しなければなりませんが、留萌SSは集塵機のバルブは開けたまま退場しなければなりません。これは工場の集塵機の構造上の理由からだそうです。

 「細かいなぁ~」って思うかもしれませんが、ルールを守らないと次に積み込む人が苦労したりします。

 あとは構内の移動です。苫小牧はスケールから積み場への移動もルートが決まっているし、積んでからスケールまでのルートも決まっています。留萌は構内が狭いので「暗黙の了解」で中に入れるのは3台までとか皆さん気を使って入退場するようにしています。

 留萌の入退場ルールは本当に暗黙のルールでして、積みに来る皆さんがお互いに気を使って成り立っています。お互いに譲る気持ちがあり、本当に気持ちよく仕事できる要因だと思います。

さらに厳しくなる積込み時の安全ルール

時代とともに安全性を最優先する職場になりました! 【セメントを運ぶバルクトレーラの決まりごと】
でっかい北海道ではバルク車は単車よりもトレーラが多い

 積み込みのルールは、最近は非常に厳しくなりつつあります。ヘルメット・安全帯・防護メガネ・防塵マスク(医療マスクはNG)と本当にフル装備で積み込みしなければならない状態です。

 私がセメント輸送を始めたころはヘルメット無し&サンダル履きって人もたくさんいました。でも、まだ燃料系よりはましかなって思います。燃料系はフルハーネス安全帯を装着するといっていました。

 また、私なりのルールというか感謝の気持ちなのですが、会社の事務員さんにちょっとしたオヤツを不定期で差し入れしたり、留萌SSの事務員さんにもちょっとしたオヤツを差し入れしたりしています。本当にちょっとしたものなんですが……。

 「ルール」と「ルーティン」って似ているところがあります。安全に関するルーティンは本当に身に着けたほうがいいです。私はYouTubeで動画配信もしているのですが、最初の頃に一時停止が充分ではないというアドバイスをコメントでいただき、きちんとやらないとダメだなって改めて思いました。

 発進時の指差し確認やスケール計測時の連結確認を声を出してやっていたら、撮影していなくても自然にやっている自分が居て、もうルーティンになっているんですよ、安全確認が……。これに関しては動画配信を初めてずごくよかったなと自分でも思います。

 安全に関するルールはなんぼあっても大丈夫! 自分なりの安全ルールを作っていくのもプロドライバーの仕事だと思います。それでは皆さん、安全運転で冬を乗り越えましょう! 冬真っ盛りの北海道からでした。

【画像ギャラリー】安全管理が徹底されてきたセメントバルクトレーラ(4枚)画像ギャラリー

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