ヤバいよヤバいよ!! またまた燃料価格が上がってきているのでドライバーさんに省エネ運転をしているのか聞いてみた

私が省エネ運転をしている理由/関東のベテランドライバーDKさん

いっぽうのDKさんは、燃費データまで取り省エネ運転を励行
いっぽうのDKさんは、燃費データまで取り省エネ運転を励行

 「省エネ運転していますか」。私はしている。していると思っている。

 少なくとも私の脳裏には省燃費運転の意識が常にある。一定の条件下で他の運転手と燃費を比較する機会があれば、悪くない成績を出せるだろうという自信もある。
 
 言い訳になるが、エコ運転をしているから面白い話が書けない。だいたい他人のエコ運転の話なんか読んで誰が面白いだろうか? 

 「そんなの知らねえ。トラックが燃料使って何が悪いのか!」こう言う豪気な人の話のほうが痛快だし、読み物として面白いだろう。
 
 では、なぜ私はエコ運転をしているか? それは私がケチんぼだからだ。社長や運行管理者に求められてやっていることではない。

 あくまで個人的な記録なのだが、私は燃費データを取っていたことがある。私にとって燃料代や他の運行コストは「会社の金だから関係ない」とは思えない。

 仮に自分が大金持ちになったとしても、120円の缶コーヒーを毎日買おうとは思わない。水筒に作ってくれば安いし、美味しい。とにかくケチんぼなのだ。

 過去の手帳などを調べてみると、平成27年から平成29年の記録に検証できそうな数字が残っていた。私は他のトラックに乗ることもあるが、この期間に乗っていた大型トラックには、私以外誰も乗務していない。

 車型は平成27年式いすゞギガの4軸低床ウイング(最大積載量13・8トン)だ。それによると、平成28年の走行距離14万5518km、給油量3万6102リッター、平均燃費4.03km/リッターである。

DKさんの実際の燃費データ。車両はいすゞギガの8×4
DKさんの実際の燃費データ。車両はいすゞギガの8×4

 この年間平均燃費がいかなる評価を受けるか、それはわからない。そもそもトラックの燃費は、車種、車型、タイヤ、積載量、高速道路の使用率など諸々から影響を受け、公平な条件で比較することがむずかしい。

 燃費を左右する大きな要因の一つに運転の仕方がある。自分で「比較がむずかしい」といいながら、あえて比較を試みる。

 この会社では、大型車はすべて同じメーカーの同じ仕様(いすゞ4軸低床ウイング)だったので比較しやすい。いっぽうで年式やタイヤは個々に違い、積み荷も一定ではないことをお断りしておく。

 会社の大型車の平均燃費は3.5km/リッターだった。ちょっと数字遊びをしてみれば、この燃費で同じ距離を走ると4万1576リッターの軽油を必要とする。先ほどの数字と比べてみて欲しい。その差なんと5465リッター。ドラム缶27本分以上に相当する。軽油1リッター125円で計算すると68万3125円だ。
 
 ということは、1年間同じ仕事をして同じ運賃を得ても、68万円も節約した可能性がある。もっとボーナスに反映してほしい。社長! 聞いていますか?

 私の省燃費運転のコツを皆さんに披露するのは気が引けるが、あえて紹介しよう。まずはアイドリングストップだ。この会社の場合、デジタコの管理は運行中のみで、ほとんどの運転手が待機・休息時にアイドリングしっぱなしだ。私は、厳冬期や酷暑期を除けば、エンジンを切ったほうがよく眠れる。

 次に高速道路の運行速度が大きく関わる。ご承知の通り大型車の速度リミッターは90km/hだから、リミッター近くで走るドライバーが多い。私は82km/hを目安に走っていた。時速にして10km未満の差だが、この2つで燃費にはかなりの差が出る。

 ちなみに燃費だけに特化するなら、最高段ギアに入れて最低回転数で走るのが理想的だ。しかるに、これだと7速MTの大型車の場合、理想的な巡行速度は70km/h程度となる。これを実践すると一般車はもちろん、同業のドライバーからも顰蹙を買うかも知れない。

 3つめに、エンジン回転数も重要だ。一般的な大型車なら、省燃費運転において2000rpm以上まで回すのは言語道断! 私なら1600rpm以上回すことはまずない。これも慣れてしまえば苦痛でもなんでもない。

 10リッターエンジンの13t車にフルロードでもまったく問題なく走れるので、普段もっと回している人は試してみて欲しい。

 4つ目に、不要な加減速を避けることも省燃費に繋がる。一般道では、先々の信号やクルマの動きを良く観察して予測運転を心がける。これは安全運転にも寄与する。

 こと燃費に関しては、トラックメーカーの技術開発にも力が入っているように思う。トラックの燃費は僅かに改善するだけでも、コスト削減効果が大きいから、顧客訴求力がある。さらに、メーカーは誰が乗っても(あるいは無人運転で誰も乗らなくても?)パフォーマンスの変わらない車両を開発しつつある。

 三菱ふそうが先の平成29年のフルモデルチェンジで、大型車全車でAMTを標準装備させたのには驚いた。これはドライバーの運転負担を軽減させるばかりか、一般的なMT車より燃費を向上させると謳っていた。

 このような技術革新のおかげで、ドライバーの運転操作による優劣は付きにくくなってきた。ドライバー歴19年、エコ運転に関しても、まだまだ自動運転やAIには負けられない、と思っているが、やがて時代が進めば、風車に立ち向かうドン・キホーテのように見られるだろうか?

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