元ベテラン運転手 トラさんの「泣いてたまるか」No.73
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寄稿・連載
追想記(並走車5)
まだ、バブルが冷めやらぬ頃、当時の私はゴルフをしていた。三重県の名張在住の頃で、この付近のゴルフ場には数か所通ったものだ。友人にゴルフ場勤めの方がいたりして、無料ゴルフも楽しんだこともある。懐かしい思い出として今でも残っている。
そんな時代の、中央道でのことだ。時間はわりと早い時間帯で、午後の三時から四時くらいだったと思う。下りの上野原ICを過ぎた所で、80km/h程度で走る乗用車に追いついて行った。後ろにはゴルフバックが積んであり、四人が乗っているのがわかった。「はは~ん、ゴルフ帰りだな」と、思いながら、しばらく後ろを走ったのだが、話に夢中になっているようで、どうもスピードが一定しない。当然追い越すことに決めた。幸い、バックミラーには車は映っていない。
その先は、談合坂SAにかけて登り坂になっているのだが、その日の積荷は軽かった。
で、追い越しをかけたのだが、本当にもう、やはりと言うか当たり前のように、120km/hまで速度を上げて並走してきた。しかし、運転をしていたおじさんは、照れ笑いをしながら私の方を見て頭を下げ、突然スピードを落としたのだ。私がスピードを一旦落そうかと思った一瞬先のことだった。
当然、これは無意識の並走であり、悪意は全く感じられない。また、4人乗りだったということもあり、誰かがスピードアップに気が付き、ドライバーに注意を促したことも考えられる。
このようなゴルフ帰りはもちろん、複数の人数が乗っている場合は、まず無意識の並走と思って間違いない。と言うのも、その後、何度これを繰り返しても、ある一定の速度まで上げると、必ず釣られて速度を上げてきた車は、スピードを落とすということがわかったからだ。
トラさんのブログ「長距離運転手の叫びと嘆き」
http://www.geocities.jp/boketora_1119/
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